2023年05月06日

執筆者小林慎一

Photo by Nika Benedictova on Unsplash

独創的な人の考え方 ♯2

組織心理学者のグラントは
どうすれば独創性を発揮できるかの研究を行なった。

そこで見出された特徴のひとつが、先延ばしだ。

ある事業課題を出し、そのアイデアを出すという実験の中で、
課題を出した後に、ランダムにグループを選びゲームをしてもらう。

すると、ゲームをしたグループの方が
独創性が16%高いという結果になった。

先延ばしをして別のことをしていても
課題は頭の中で動いている。
そのため、直線でない考え方が生まれ、
予期せぬ飛躍が可能になるのだと言う。

2023年05月06日

執筆者小林慎一

独創的な人の考え方 ♯3

組織心理学者のグラントは、
独創的なことを成し遂げる人は、先延ばし人間だと唱えている。

ダヴィンチは、モナリザを描くのに16年かかった。
彼は、それを恥じていた。

しかし、途中で、物理学者として光の研究をしたことで
光の描き方を一変させることができた。

また、キング牧師は、直前まで台本を書き直し、
壇上に上がると台本にない歴史を動かすセリフを言った。
「I have a dream」

先延ばし人間は、ギリギリまで、アイデアを広げる。
だからこそ、独創的なことができるのだ。

2023年05月06日

執筆者小林慎一

Photo by Mitchell Luo on Unsplash

独創的な人の考え方 ♯4

組織心理学者のグラントが
ワービーパーカーの投資を引き上げた理由のひとつは、
サイトを立ち上げるのが遅く先行者利益を逃すと考えたからだった。

しかし、今では、先行者利益は幻想だと考えている。

研究によれば、先行企業の失敗率は47%で、
後発企業の失敗率は8%。

GoogleもYahooもFacebookも、みな後発企業だ。

独創的になるためには一番目になる必要はない。
他との違いをつくり、より優れたものにするために
仕上げに時間をかけるのだ。

2023年05月06日

執筆者小林慎一

Photo by Voice Chasers

独創的な人の考え方 ♯5

組織心理学者アダム・グラント。
彼は独創的なことを成し遂げる人は、自分を疑わない人で、
代わりに、アイデアを疑う人だと言う。

失敗することで「自分はダメだ」と思うのではなく
「まだそこに到達していないだけだ」と考える。

脚本家のジェニファー・リーもそのひとりだ。

彼女は半世紀にもわたり不採用になっていた
脚本を何度も書き直し続けた。

その脚本は、悪役を女王にするというものだったが
悪役の女王を、悩める勇者につくりかえたことで
生まれた映画が「アナと雪の女王」だ。

成功の秘訣は、アイデアを、ありのままにしないことだ。

2023年05月06日

執筆者小林慎一

独創的な人の考え方 ♯6

組織心理学者のグラントは、
独創的なことを成し遂げる人は、
普通の人と同じく、恐怖を感じるのだと言う。

そして、普通の人が恐怖するのは失敗すること。

それに比べて、独創的なことを成し遂げる人が恐怖するのは、
挑戦しないこと。
そして、ひとつの成功のために、数多くの失敗をする。

モーツアルトも、ベートベンも、誰よりも駄作をつくった。
また、不気味なおしゃべり人形をつくった発明家として
エジソンの偉業を否定する人はいないだろう。

2023年05月06日

執筆者小林慎一

Photo by Official SpaceX Photos

独創的な人の考え方 ♯7

イーロン・マスクは、本人すらテスラが成功するとは思っていなかった。
スペースXのロケットも地球に帰還するどころか、
軌道にのせることすらできないと考えていた。

しかし、彼は、自らがすることの重要性から、挑戦せずにはいられなかった。

4月20日に人類史上最大の宇宙船スターシップは打ち上げに失敗した。
爆発した直後に、イーロン・マスクをはじめとするスタッフは歓声を上げた。

彼らの世界で、それを失敗と言う者などいないのだ。

組織心理学者アダム・グラントは言う。
独創的なことを成し遂げる人は、普通の人とはそう変わらない。
先延ばしをする。まずいアイデアをたくさん考える。恐怖も感じる。

しかし、それらがむしろ成功の助けになる。
だから、見限ってはいけない。

そして、それらは私たち普通の人にも当てはまる。
自分を信じ、自らのアイデアを疑い、挑戦しないことを恐れる。
少ない良いアイデアを生むために、たくさんのまずいアイデアを考え実行する。

私たちは皆、独創的なことを成し遂げるポテンシャルを持っているのだ。

2023年04月30日

執筆者名雪祐平

© Archives Charmet / Bridgeman Images

無は無 「書かない詩」

それでは、芸術的な詩のつくり方を。

新聞と鋏を用意 
記事を文節ごとに切り分ける
袋に入れる 
1つ1つ取り出す
順に並べる 

ほら、これで、ダダイズムの詩の出来あがり。

理性を破壊するダダイズムの創始者、
詩人トリスタン・ツァラは、宣言した。

“ダダは何も意味しない”

何も意味しない。とは、
何か意味するのか?
無という0(ゼロ)。
その空洞のなかの無限、か。

2023年04月30日

執筆者名雪祐平

無は無 「皿」

皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿皿
倦怠

これは『皿』という詩の冒頭。
縦書きで皿の字を連続二十皿積み重ね、
食堂の皿洗いの心境を滲ませた。

詩人は高橋新吉。
1923年刊行の『ダダイスト新吉の詩』は大反響を起こす。
古臭い価値観を嘲笑うダダに、
16歳の中原中也も衝撃を受け、詩を書きはじめる。

そんな多くの若者たちへ。
新吉は記す。

“何もないのだ
わかったか
わかるといふことも
ないのだ“

2023年04月30日

執筆者名雪祐平

無は無 「白の上の白」

なぜ、何も描かない画家といわれたのか?

ロシア・アヴァンギャルドの芸術家、
カジミール・マレーヴィチ

1918年の代表作『白の上の白』は、
白いカンバスの上に白い正方形のみ。

これは、絵画か?
絵画的技法を無視したセンセーショナル。

マレーヴィチは、
「色彩と表面効果こそが絵画の本質」
と、これまでテーマに意義を置いてきた
美術界を全否定。

その前衛思想は、
ロシア革命後のスターリン政権下で弾圧され、
抽象絵画は禁じられる。

マレーヴィチは、
何も描かないが、死にものぐるいで、
無を描いたのだ。

2023年04月30日

執筆者名雪祐平

無は無 「ガラクタ」

傑作中の傑作。

が、1917年当時の既成概念では、
ガラクタ。

マルセル・デュシャン『泉』

男性用小便器を横に倒しただけ。

製品を、作品に。
そんな小さな問題ではなく。
何が芸術か、芸術でないか
その境界を問う歴史的スキャンダル。

しかし『泉』は、
撮影したカメラマンによって
ガラクタとして捨てられ、
無になった。