2023年03月18日

執筆者波多野三代

Photo by Jun K

〜春分の日〜 春の皿には苦みを盛れ

「春の皿には苦みを盛れ」
日本に古くから伝わる「食養生」の考え方だ。

こんな話を耳にしたことはないだろうか。
春、目覚めた熊が初めに食べるものは
苦みのある”蕗のとう”。

旬の食材を食べることは
生き物の本能に刷り込まれた知恵だ。

人も、動物も
厳しい寒さに耐えるため、冬は代謝が落ち、じっと栄養を蓄える。
春、暖かくなってくると代謝が活発になり、
冬に備えて溜め込んだ油や老廃物を外に出す必要が出てくる。
その「排出」を助けるのが、
苦みのある植物性アルカロイド。
ほろ苦い春の味覚の正体だ。

うど、こごみ、タラの芽、菜の花、蕨、ぜんまい、つくし、そして蕗のとう。
春分を境に一斉に旬を迎える野の命は
一様に苦みを帯びている。

春分の日がやってくる。
冬を体から追い出し
ほろ苦くも暖かい、春の伊吹を取り込もう。

2023年03月12日

執筆者森由里佳

Photo by Coanri/Rita

「アフリカローズという店」

バラの専門店「アフリカローズ」が、信じていることがある。

ヨーロッパでは人気があるケニアのバラを、
日本でも広めることができれば、
ケニアの雇用を生み、子供たちが学校に行けるようになるはずだ―

アフリカローズが契約したのは、
ケニアのお母さんたちが働くバラ農園。
花と一緒に、子供たちの未来も育てている。

2023年03月12日

執筆者蛭田瑞穂

「水仙の語源」

春に咲く花、水仙。学名は「ナルキッソス」。
ギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスに由来する。

ある時、ナルキッソスが泉の水を飲もうと水面を見ると、
そこに美しい少年がいた。
本人であることに気づかぬナルキッソスは一瞬で恋に落ちると、
その場から一歩も動けなくなる。
やがて彼はやせ細り、衰弱し、命を落とす。

その後、泉のほとりに咲いた花が水仙だったという。

2023年03月12日

執筆者佐藤日登美

Photo by T.DAIROKU

「さくらの開花予想」

今年の桜はいつ咲くのだろう。
春めいてくると、自然と思い始めてしまう私たち。

そんな疑問に答えるべく、
気象庁は1951年から「さくらの開花予想」を始めた。 

3月の第一水曜日に一回目の開花予想が発表され、
その後、桜の様子を伺いながら日にちは適宜修正される。
当初は関東地方のみで行われていたが、
やがて沖縄・奄美地方を除く全国が対象となっていった。
この開花予想日を参考にして、人々は花見の準備を始めるのだろう。

実は、気象庁による「さくらの開花予想」は10年ほど前に終了しており、
今はいくつかの民間業者がその役割を担っている。

毎年見ていても、桜はいつも、予想以上の感動を与えてくれる。

2023年03月12日

執筆者森由里佳

Photo by Richard Thomas

「フェアという気高さ」

意外と知られていないが
バラやカーネーションなどの切花にも
フェアトレードの認証を受けているものがある。
その生産地はアフリカ、中南米、アジアの数十カ国。 

フェアトレードは価格を保証することによって
生産者を守り、生産地の森や水を守る。
さらに利益の一部は社会事業に使われる。

1本の花を育てる人も受け取る人も
幸せな気持ちになるように。

2023年03月12日

執筆者佐藤日登美

Photo by Aida Batres on Unsplash

「薔薇の花言葉」

薔薇の種類はトータルで2万を超えるという。
そのひとつひとつに花言葉はあるのだろうか。
考えるだけで気が遠くなるが
とりあえず色によって分けられているようだ。
 
ピンクの薔薇は「上品」。
白い薔薇は「純潔」。
黄色の薔薇は「友情」。
しかし、黄色の薔薇には「嫉妬」という花言葉もあるので、
贈るときにはちょっとだけ注意が必要かもしれない。

2023年03月12日

執筆者蛭田瑞穂

Photo by Yana Gorbunova on Unsplash

「タンポポの語源」

春に咲く花、タンポポ。
英語では「ダンデライオン」。
その名はライオンに関係がある。

黄色い花がライオンのたてがみに見えるから、
と思いきや、そうではない。

ダンデライオンはフランス語のdent-de-lionに由来する。
dentは歯。つまり、ライオンの歯。

タンポポのギザギザの葉っぱはライオンの牙に見える。
それがダンデライオンの語源。

2023年03月12日

執筆者蛭田瑞穂

Photo by k yamada

「忘れな草の語源」

春に咲く花、忘れな草。
英語ではForget-me-not。
その名には中世から伝わる物語がある。

ある青年が恋人の女性と歩いていると
川べりに美しい花を見つける。

青年は恋人のために花を摘むが、
誤って川に転落し、急流に呑まれてしまう。

彼は掴んでいた花を恋人に投げ、最後に叫ぶ。
「Forget-me-not(私を忘れないで)」。

それが、忘れな草の物語。

2023年03月12日

執筆者佐藤日登美

Photo by Thomas Cizauskas

『古今和歌集』の薔薇」

『古今和歌集』に、紀貫之が詠んだ薔薇の歌が登場する。

我はけさ うひにぞ見つる 花の色を
あだなるものと いふべかりけり

今朝初めて薔薇の花を見たが、その色は儚くも美しい。
 
当時、薔薇はまだ珍しい花だったのだ。

2023年03月11日

執筆者大友美有紀

Photo by shin--k

東北にサクラ咲け 「福島・三春滝桜(みはるたきざくら)

東京の桜が見頃を迎えたあとも
桜前線は、ゆるやかに北上を続ける。
東北の桜はやっと4月に咲き始める。

福島県田村郡に、
日本三大桜のひとつ、三春滝桜がある。
高さ13.5メートル、根まわり11.3メートル。
枝は東西に25メートル、南北に20メートル広がり、
樹齢千年のその重みをたくさんの支柱が支えている。

この巨木から、桜が枝垂れて咲く。まるで滝のように。
去年、国の天然記念物指定100周年を迎えた。