2023年01月14日

執筆者道山智之

Photo by Ryo FUKAsawa

はじまりとおわり 「いってきます」

「いってきます」

この言葉には、
“無事に戻ってくるね”という意志が
こめられている。

そして「ただいま」という言葉とともに
人は自分の場所に戻ってくる。

なにげなくつかっている挨拶の言葉。
想いを声にすることで、
はじまりとおわりをたいせつな誰かと
「指差し確認」しているかのようだ。

***

はじまりとおわり。

Moment for the infinity

2023年01月14日

執筆者道山智之

Photo by Ländle Slam

はじまりとおわり 「ゴング」

朗読で対戦する試合「ポエトリースラム」の世界共通ルールは、
自作の詩を3分で読むこと。
それを観客から選ばれた審査員が採点する。

3分たつと、ゴングの音が鳴る。
ゴングが鳴らないように、1秒でも前に終わるほうが、
観客の印象はよくなる。

「おわり」を感じないことで、
永遠を感じるからだろうか。

***

はじまりとおわり。

Moment for the infinity

2023年01月14日

執筆者道山智之

はじまりとおわり 「7の月をこえて」

1999年7の月に、
人類に訪れるはずの危機。

当時、ノストラダムスの予言を信じて
日々をすごした人は多かったはず。

どうしようもないというあきらめ感。
それとも、その日まで好きなように生きよう、という
妙なすがすがしさを感じていた人もいただろう。

でも、世界は今もつづいている。
突如おわりのない日々が見えたそのとき、
人の心に浮かんだのは安堵か、はたまた、けだるさか。

***

はじまりとおわり。

Moment for the infinity

2023年01月14日

執筆者道山智之

Photo by Michael Surazhsky on Unsplash

はじまりとおわり 「次のステージ」

地面から、水が湧き出す水源地。
なにもないところから
川がはじまるその様子は、
なんだかわくわくする。

そういえば漢字はちがうが、
「水が湧き出す」のも
「やかんでお湯が沸く」のも
「わく」。

今までの状態とかれることで
「次のステージに行く」様子を
「わく」というらしい。

そんな“はじまり”の瞬間は
やっぱり「わくわく」するものなのだ。

言葉の水源地。
自分なりにたどってみるのもおもしろい。

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はじまりとおわり。

Moment for the infinity

2023年01月14日

執筆者道山智之

Photo by kazuend on Unsplash

はじまりとおわり 「ちっぽけな存在」

宇宙のはじまりとおわりは、
どうなっているのだろうか。
語るだけでも楽しい。

私たちの人生は、この広い宇宙の中では
まばたき程度にすぎないと、
よく聞かされてきた。

たしかにそうかもしれないが、
宇宙に想いを馳せる私たちには
“想像力”というたからものがある。

はじまりとおわりの途中、
そう、今をたっぷり味わうための
たからものなのだ。

***

はじまりとおわり。

Moment for the infinity

2023年01月14日

執筆者道山智之

はじまりとおわり 「おわりとはじまり」

日常に、わかりやすく派手に楽しいことは
そんなにしょっちゅうあるもんじゃない。

日々のルーティンや退屈のなかに、
よくよく目をこらしてみれば、
鉱山の石のなかの金の含有量ほどの割合で、
きらっとひかる何かが見つかる程度だ。

見すごしてしまうことだってある。

そんなときに、なにか近道がほしくなって、
退屈な日常をひっくり返してしまおうという衝動を
きっと人間はどこかに持っている。

***

だが、一度ひっくり返してしまったものは
なかなか元に戻せない。

正確に言えば、
「元に戻したい。元に戻そうよ」と言い出しにくい。
自分がはじめたことだから。

みんなの心を曇らせる
心配ごとがつづく。
おわらせる日はくるのだろうか。

***

「元に戻す」のは言い出しにくい。
「おわらせる」には道筋が見えない。
そんなとき、「はじめる」ことをはじめてみてはどうだろうか。

歴史の教科書に何度も描かれてきたような、
コントロールできない状況のエスカレーション。

それを制御する最適な手段は、
“言葉”であるにちがいない。

今ここにいない人。
意見の対立する人。
相手と一対一で話すことで、新しいステージを、はじめられないか。

言葉で願いをかけ、
言葉で心配したりほっとしたり、わくわくしたりする私たち。

はじめることで、
おわるものがきっとある。

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はじまりとおわり。

Moment for the infinity

2023年01月14日

執筆者道山智之

Photo by tanakawho

はじまりとおわり 「時のながれ」

演劇だって、
映画だって。

はじまる10分前に劇場の席についていれば問題ないが、
10分後に入ってしまえば状況はかわってくる。

ストーリーはわからないし、
まわりのお客さんも困るだろう。

おなじ10分。
なのに、前と後では全然ちがう。
なぜこんなにもちがうのだろう。

答えは簡単、
時の流れが一方通行だからだ。

早いはいいこと。
おそいはちょっとつらくなる。

10分前にプレゼンの席につくのはいいことだが、
10分おくれて席についたら、
決まるはずのものも決まらなくなる。

***

早いほうがいい、ということは世の中に多い。
というか、ほとんどだ。
早いと割引率も高まるし、
仕上げのスケジュールにも余裕が出るし、
なにかまちがいがあったときに取り返せるチャンスが増える。

でも、わかっているのに。

まるで時のながれにおされるように、
ついついなんでも後回しになりがちだ。

朝はついおそくまで寝てしまうし、
なんでもかんでもギリギリになって、
高い特急サービスを利用することもしばしば。

さらには
早めにやるよりずっとたいへんな
言い訳を考える作業や謝罪の言葉を考えたりする必要が出てくる。

時の流れは一方通行。
その圧倒的な大前提の中で私たちは生きている。
はじまりがあって、おわりがある。

***

でも、でも、ついなんでもおそくなりがちな私たちには大きな希望がある。
今日が終わる。
そのあとにはなんと、明日がはじまるということ。

おわりははじまりの予告篇。
生きていく日々の数だけ、
私たちには自由なストーリーを描くチャンスが用意されている。

***

はじまりとおわり。

Moment for the infinity

2023年01月08日

執筆者仲澤南

Photo by Quentin Yang

年越しの瞬間 アメリカ

新しい年を迎えるその瞬間。
世界の人々は、どう過ごしたのだろう。

アメリカのタイムズスクエアは、
華やかな年越しの定番だ。

LED電球で飾られた
巨大なボールが街を照らし、
1トンを超える紙吹雪が空を舞う。

マスク着用などの条件も、人数制限も
やがて笑って話せる思い出になりますように。

今年も、心躍る瞬間を。

2023年01月08日

執筆者仲澤南

Photo by Micheo

年越しの瞬間 イタリア

遠い国の新年をのぞいてみた。

新年が近づいた頃
イタリアのランジェリーショップは赤一色だった。

赤い下着をつけて
年越しの瞬間を迎えると
幸せになると言われているのだ。

下着にも決まりがあり、
年越しが終わったらすぐに捨てなければならない。
そしてもうひとつ。
誰かからのプレゼントでなければならない。

赤い下着は新年の希望。
新しい年に愛と幸運を。

2023年01月08日

執筆者仲澤南

Photo by CHUTTERSNAP on Unsplash

年越しの瞬間 デンマーク

遠い国の新年をのぞいてみた。

デンマークが新年を迎えるとき
街中で打ち上げる花火の音に混じって
昔は陶磁器が割れる音が聞こえたそうだ。

年のはじめにお皿をぶつけられた家は幸運に恵まれる
という言い伝えがあり、
外に出てお皿やカップを
お隣さんや友人の家にぶつけて割る習慣があったのだ。

有名な陶磁器メーカー、ロイヤルコペンハーゲンは
購入して24ヶ月以内に壊れた商品を
無傷のものと交換する保証をつけているが
このときに割ったものに関しては
当然ながら保証の適用外だった。

いまはそんな習慣は廃れ
賑やかな花火だけになっているが
誰かの幸せを願う気持ちはきっと変わらない。

新しい年に幸運を。