2023年01月08日

執筆者仲澤南

年越しの瞬間 コロンビア

遠い国の新年をのぞいてみた。

コロンビアには新年が2回ある。
コーヒーの新年度が10月で、
新しい豆が世界各地に出荷された。
それから1月1日の新年だ。

コロンビアには、
新年にスーツケースを引きずって家の周りをまわる風習がある。
これは旅のチャンスをつくるおまじない。
コーヒー豆のように世界をまわれますように。

旅が、人々のもとへ戻りつつある。

新しい年に旅の楽しさを

2023年01月08日

執筆者仲澤南

Photo by Stéphan Valentin on Unsplash

年越しの瞬間 キューバ

遠い国の新年をのぞいてみた。

キューバでは、年が変わる瞬間に家の前に水を撒く。
これはキューバ大使館のホームページにも
「キューバ独特」と書かれている風習だ。
悪いことを捨てて新年を迎えるという意味があるらしい。

マンションではバルコニーから水を撒く。
下を歩く人は当然びしょ濡れだ。
でも1月の最低気温は18度だし、
ユーモアの国キューバなら、たぶん笑って許される。

新しい年は、いい笑顔で。

2023年01月08日

執筆者仲澤南

Photo by jacinta lluch valero

年越しの瞬間 スペイン

遠い国の新年をのぞいてみた。

年末、スペインのスーパーには
12粒入りの葡萄が並ぶ。
1年の12ヶ月に合わせて葡萄は12粒。
願いを叶えてくれる幸運のシンボルとして売られている。

食べるタイミングは日本の年越し蕎麦と逆で
新年の最初の鐘が鳴ってから。
3秒に1度鳴る鐘に合わせて1粒ずつ食べる。
そのペースは、意外と早い。

しまいに口の中が葡萄だらけになるけれど、
今年もがんばりました。

新しい年に幸運を。

2023年01月08日

執筆者仲澤南

Photo by Ashes Sitoula on Unsplash

年越しの瞬間 ブラジル

遠い国の新年をのぞいてみた。

お正月の伝統食は世界各地にあるが、
ブラジルでは逆に、
食べてはいけないものがある。

それは鳥の肉。
鳥は後ろ向きに地面を蹴るため、
新年が後ろ向きにならないように
という理由だそうだ。

ブラジルの食文化は世界各国の影響が強く
オリジナルの料理はあまり見かけないと言われるが、
伝統の味は家庭の中にあるのかもしれない。

今年もおいしい幸せを。

2023年01月08日

執筆者仲澤南

Photo by tsukacyi

年越しの瞬間 日本

除夜の鐘を聞いたと思ったら
もう七草の日が終わろうとしている。
七草の日は七日正月とも言った。(なぬかしょうがつ)
1月15日は小正月で、この日は小豆粥の日だ。

行事や伝統食を大切にした時代は
一日一日が意味のある大事な日だったのだろう。

一年を、一日を、大切に。

2023年01月07日

執筆者佐藤理人

Photo by Nathan Meijer

「ウォーリス・バッジ」 4万点を盗んだ男

大英博物館が世界に誇るエジプトコレクション。

ミイラ、パピルス、ロゼッタストーン、
10万点を超える収蔵品のうち4万点は、
ある男によってエジプトから盗まれた。
イギリスの考古学者ウォーリス・バッジ。
19世紀から20世紀にかけて彼は、
大帝帝国の軍事力と豊富な資金をバックに、
嘘・賄賂・脅迫、あらゆる手で盗掘品を買い漁り、
大量の文化遺産をエジプトから違法に持ち帰った。
その目的は文化財の保護。

しかし、人は彼をこう呼んだ。
大英博物館のために働く無節操なコレクター

2023年01月07日

執筆者佐藤理人

Photo by Steven G. Johnson

「ウォーリス・バッジ」 語学の天才

エジプトから4万点の文化遺産を盗んだ、
大英博物館の考古学者ウォーリス・バッジ。

幼い頃より古代イスラエルの戦争物語に夢中だった彼は、
独学でヘブライ語とシリア語を習得。
奨学金を得てケンブリッジ大学に入ると、
アラビア語や古典エチオピア語をマスター。
さらにエジプト文明とメソポタミア文明の言語も、
自由に操れるようになった。
貧しく身寄りのなかった彼には「語学力」という、
お金で買えない財産があった。

2023年01月07日

執筆者佐藤理人

「ウォーリス・バッジ」 初エジプト

大英博物館の考古学者ウォーリス・バッジが、
初めてエジプトを訪れたのは1886年。
文化遺産の買い付けが任務だった。

それらの国外持ち出しは法律で禁じられていたが、
エジプトの博物館の管理体制は杜撰だった。
ナイル川の影響で湿度が高く、ミイラを入れたケースは、
内側に水滴が流れ落ち、ガラスが割れていた。
エジプトの文化遺産は、大英博物館で適切に保管すべきだ。
バッジが抱いた信念は、終生揺らぐことはなかった。

2023年01月07日

執筆者佐藤理人

「ウォーリス・バッジ」 悪知恵の達人

エジプトから4万点の文化遺産を盗んだ、
大英博物館の考古学者ウォーリス・バッジ。
その目的は文化財の保護。

彼はエジプトの公用語のアラビア語から、
古代エジプト文字までマスターした語学の達人だった。
情報収集と交渉をすべて一人で行い、
現地のエジプト人が盗掘した文化遺産を次々と買い漁った。
それは違法だったが、盗掘商人たちは喜んで彼に売った。
盗掘品がエジプト考古局に見つかると、
没収されるか安値で買い叩かれる。
個人コレクターの手に渡ることもある。

バッジはイギリス軍と結託。
買い集めた遺産を「軍用貨物」として、
次々と国外へ持ち出した。

2023年01月07日

執筆者佐藤理人

Photo by Frans Vandewalle

「ウォーリス・バッジ」 いちばん欲しかったもの

エジプトから4万点の文化遺産を盗んだ、
大英博物館の考古学者ウォーリス・バッジ。
その目的は文化財の保護。

中でも彼がいちばん欲しかったもの、
それは美術品としても名高い死者の書「アニのパピルス」だ。
1887年、バッジは二度目のエジプト行きで、
自ら盗掘に手を染めて、ついに目当ての品を手に入れた。
すでに当局に目をつけられていた彼は、
逮捕寸前まで追い込まれる。しかし彼は警官を賄賂で買収し、
職人たちに地下トンネルを掘らせて、再び逃げ果せた。

エジプトの文化遺産は大英帝国で保護してこそ価値がある。
バッジはもはや考古学者ではなく、一人のエゴイストだった。