たけちゃんへ
ストーリー 張間潤一
出演 井指久也
ごぶさたやね。
そっちの生活はどう?
そろそろ落ち着いたころかな。
自転車やバスケットボールができる仲間は見つかったやろか?
正直、この手紙がたけちゃんのところに届くかどうかわからんと書いてる。
そっちで日本のラジオは聞けるんやろか?
インターネットは通じてるんやろか?
まあ、なんらか届くやろ。
とつぜんおらんようになったときにはめっちゃ驚いたよ。
言葉が出てこんかった。コピーライターやのにね。
まあ、でも、しゃあない。しゃあないと思うしかない。
そういや、今年は桜が早かったよ。
桜のあとしばらくしたら毎年バーベキューしてた季節やね。
去年はコロナでできんかったから今年はしたいんやけど、
ひたすら肉食うたけちゃんおらんかったら、ちょっと楽しみも減るなあ。
まあ、言うてもやるけどな。
次はいつ会えるんやろか。
そうそう、
そない言いながら、先週夢の中では会うたんやった。
えらい勢いでウチに飛び込んできて、
「大変や!来てくれ!手伝ってくれ!」
って、窓から桜の見えるたけちゃん家に連れて行かれてん。
ほんで、重たい冷蔵庫をどけたら隠し扉があって、
隠し扉を開けたら、8畳くらいでコンパクトやけど
どっかのお寺のお堂みたいな空間になってた。
そこに、朱色の法衣に金蘭の袈裟着た、一見即身仏かと思ったけど
生きて動いてはるおっさんいてはった。(おっさん=お坊さん)
なあ、
あれはなんの暗示や?
知らんか。
そら知らんわな。
俺の夢やもんな。
診断してもらうとしたら俺の方や。
まあ、そんなこんなでこちらは変わらず。
ほなまた。
あ、もし自転車やらボールやらバッシュやらいるんやったら連絡してな。
なんらかの方法で送るわ。
肉は傷んだらアレやから送らんけどな。
ほな。
ハリマックスさん こんばんは。
タケちゃんの父です。
早いものであの日から2ヶ月が過ぎて行きました。
四十九日の法要も終え、浄土へ辿り着いていると思います。
1ヶ月ほど前に子供の頃の憲史と夢で逢えました。
場面は覚えていませんが笑顔での再会でした。
ふと、ふと帰って来るような…
よき友人、仲間に今も囲まれていると思っています。
ありがとうございます。
たけちゃんのお父さん、こんばんは。
聞いていただき、コメントありがとうございます。
もう2ヶ月、、、早いものですね。
ここのところ家の近くを通るたびになぜだか車のラジオの電波が乱れることが多くて
なんか「おれの話きけよ」って言われてる気がしています。
彼のことなのであちらでもきっと楽しくやってるでしょうねえ。