こごみのごま和え

こごみのごま和えです。
わざわざ書くほどのものでもありません。
胡麻を摺り、こごみを茹でて和えるだけのものです。
本当は胡麻を煎るところからのスタートなのですが、
もうずいぶん以前に素焼きの胡麻煎りが割れてから
私は煎り胡麻を買ってしまう癖がつきました。
たまにおにぎりにまぶしてみると
どうも煎ってある胡麻はおいしくないんですよね。
そろそろ胡麻煎りを買おうかと思いますが
それはともかく、こごみの胡麻和えです。

こごみは草ソテツというシダの葉の、
まだ伸びきらない状態をいいます。
くるくる巻いた部分を伸ばすと葉っぱになっています。
それでですね、注意しないとこのくるくるの中に
ゴミを巻き込んでいるのですよ。
なので、くるくるを伸ばして洗います。
そのついでに茎の先端のちょっと黒ずんでいる部分も
ポキポキを折って捨てます。
これでこごみはキレイになります。

テンプラや炒めものにするのでなければ、
ここでこごみを茹でます。
茹でたらお浸しでもいいし、そのままカツオブシ醤油や
マヨネーズで食べてもいいですが
ごま和えもおいしいと思います。
まず胡麻を摺りましょう。
擂り鉢でゴリゴリ。
これに醤油を入れて和え衣をつくったら
こごみを茹でにかかります。
胡麻を摺っている間にお湯を沸かしておいてください。

そのこごみの茹でかたですが
完膚なきまでに茹でると、こごみの死体みたいになってしまいます。
やはりちょっと固めがいいですね。
鍋にたっぷりお湯を沸かしてですね、
数十秒と思いますよ。
この時間はお湯の量によるのですが、
野菜を茹でるときに
なぜいちいち「たっぷりのお湯」と言うかその理由は、
お湯の温度をなるたけ下げないためです。
生きている野菜を瞬殺したいんですね。
瞬殺して、あたかも生きているかのように、
そうです、ライブな野菜です。ライブなこごみです。
色鮮やかに歯触りもさわやかにというのが理想です。

うまく瞬殺できたら水をかけて粗熱を取ります。
そしてさっきの胡麻と醤油の擂り鉢に入れて
さっくりと混ぜると出来上がります。
熱々のままお湯を切って胡麻醤油のなかに放り込んでも
どうってことありません。熱いだけです、大丈夫。

ところで、胡麻を摺ると擂り鉢の目に詰まりますよね。
スプーンでこそげ落とそうとしてもなかなか取れないですが、
ご飯をひと口分くらい入れて混ぜると取れるんですね。
早い話が、擂り鉢の掃除とご飯の胡麻和えが
同時にできてしまうわけです。
これを「擂り鉢ご飯」というのだと
京都の婆ちゃんが教えてくれました。
その婆ちゃんは子供のころ擂り鉢ご飯をよく食べたそうです。
晩ご飯を待てないほどお腹を空かせている小さな子供に
母親がそうやってひと口のご飯を食べさせたのだと思います。
いまでも擂り鉢ご飯を食べている子供がどこかにいないかな。

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