光る塩辛

光る塩辛

       ストーリー 沢辺香(さわべかおり)
          出演 平間美貴

近所のスーパーに
めっぽう美味しいイカの塩辛がありまして、
見かけるたびに買っていました。

小さめのビンに「いかの塩辛 無添加」という
名前と材料をそっけなく記しただけのラベルが巻いてあり、
プラスチックの蓋をぽん、と開けると
口一杯までワタの肌色です。
新鮮な半透明の身が甘苦いワタにからんで
くたりとしているところをつまみ出しては、
冷酒のあてやお茶漬けにして
いつも幸せな気持ちで食べました。

東日本有数の、三陸の漁港には、
トロール漁法で揚がったスルメイカがあふれ、
太った胴体が朝日でぴかぴか光るそうです。
売り場にいつもあるわけではないのは、
「いいイカが獲れた時に百本だけ作るから」
とのことでした。

その塩辛を、あの日から見なくなりました。

ですが先日、
台所の奥からあのビンが出てきて、
以前は見過ごしていた文字が目に入ったのです。
「石巻漁港 謹製」。
そうです、あの塩辛は
石巻の心意気から生まれた塩辛でした。

石巻はいま、
地元のひとの努力で、港にも活気が戻りつつあるとききます。
私は久しぶりにぴかぴかの塩辛が食べたくなりました。

だから近く、石巻へ行ってこようと思うのです。

東北へ行こう。


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庄司輝秋の震災レポート4(猫が)

庄司輝秋の石巻の実家の猫二匹は
震災から行方不明になっていましたが
3週間もたって一匹が帰って来たそうです。

帰ってきたといっても、そこにはもう家はなく
家の跡というべきところでしたが
庄司からの知らせによると

 実家の猫ですが、信じがたい事に
 3週間して自宅跡に戻ってきました。
 泥にまみれてきょとんと座っていたのです。

 一匹だけでも無事だったこと、家族で喜んでいます。
 どうやって生き延びたのかとみんなで話していますが、
 おそらくずっと謎のままでしょう。

ということでした。
なかやまがお知らせしました。

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庄司輝秋の震災レポート 3 被災地の笑い

人間はなんだか複雑で
被災地でも、みんなずっと暗い顔しているわけじゃなくて
当たり前にけっこう笑いもあります。

うちの地域で1番人気の避難所は
ラブホテルでした。

個室だし、冷凍食品もあるし、
ベットはふかふか。
ただし、家族で過ごすにはいささか気まずいのが玉に傷。

こんなことを教えあっては
面白がっています。

どんなときにも笑える事態が起こるってやつですかね。

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