事件は、行きのパリ、シャルルドゴール空港で起こりました。
飛行機を降りる時に確認したトランジットは3時間。
携帯の時刻をパリ時間に合わせ、
飲めないエスプレッソを飲みながら、
優雅に時間をつぶしておりました。
ようやく出発の30分前になってカウンターまで行ってみると、
何か様子がおかしい。
乗るはずの飛行機は20時15分発ニース行き。
しかし見上げた掲示板に表示されているのは、
21時15分発のマドリッド行き。
おかしいなと思いつつ、
ゲートのお姉さんにチケットを見せます。
お姉さんは一ミリも眉を動かさずこう言いました。
「You missed.」
あぁなんということでしょう。
飛行機が出ています。
でも、なぜ?
私の携帯は19時40分ですよ?
掲示板の時計を見ると、
時刻は20時40分。
何度も目をこすりました。マンガみたく。
そして私はすべてを合点したのです。
サマータイム。
「夏の季節だけ標準時刻を進めて、日照時間を有効に使おうとする制度。
日本では昭和23年(1948)から昭和26年(1951)まで実施。
夏時間。夏時刻。」(yahoo辞書)
くらくらしました。
平成21年の日本から来たのですから、
そんな単語を発音したのは中学の基礎英語以来です。
思えば、
「世界時刻自動補正機能」なんていう漢字だらけの機能に、
「サマータイム」なんていう舶来の思想が理解できるはずもない。
わざわざ成田空港で交換したソニーエリクソンを
心の底からうらみました。
(後から見たらちゃんとそういう機能はついてました。ぬれぎぬ。)
そうして飛行機に乗り遅れた私は、
死ぬほど美人で死ぬほど無愛想なフランス人の空港職員から渡された
ホテルのリストに片端から電話をかけ
10件以上断られた後ようやく取れたB&Bに
どこをシャトルしてるのかわからないシャトルバスで
半べそをかきながら向かったのでした。
つづく。