熊埜御堂由香 11年02月20日放送
長野県松本市の裕福な家庭に生まれた少女は
小さなころから、幻聴や幻覚に悩まされていた。
その異常な日常を受け入れるためだろうか。
彼女は自分に見えている世界を鉛筆や絵の具で書きとめはじめた。
アーティスト、草間彌生。
10歳の時に描いた母の肖像画には顔の上に
着物の上に無数の水玉が描かれていた。
草間は60年代後半には
ニューヨークでハプニング・アーティストとして
知られるようになった。
やがて創作の形式として、小説や詩も用いはじめる。
過激で性的な作品群は、草間自身の屈折した人生と重ね合わされ
マスコミを騒がせた。
そんな中、草間彌生は言い切った。
私の小説はすべて私の想像から創出されたものであり、自叙伝ではない。
ただし、詩集は別格である。
小さな頃描いた、幻覚を現実として認めるためのドローイングの
ように。幼く澄んだ言葉で紡がれた「すみれ強迫」という詩がある。
ある日 突然 わたしの声は
すみれの声になっているの
心しずめて 息をつめて
ほんとうなのね、みんな
今日に おこったことたちは