薄景子 12年2月12日放送
おやこの話 母がくれたもの
児童文学作家、松谷みよ子。
戦後の「働くお母さん」の先駆けとなり、
小さな子どもを保育園にあずけながら
数々の絵本や童話のロングセラーを生み出した。
そんな松谷を育てた母親は、
戦前・戦中という時代に、
こう言い切ったという。
うちのことは嫁に行けばできるようになるから今はせんでよろしい
だから本を読みなさい
母がくれた豊かな時間は、
彼女の絵本とともに、新しい世代へと受け継がれている。
おやこの話 やっちゃんの詩
おかあさん、ぼくが生まれてごめんなさい
この詩の作者は、やっちゃんこと山田康文くん。
重い脳性マヒだったやっちゃんは、
話すことも書くこともできなかったけれど。
養護学校の先生があげる言葉と
やっちゃんが表現したいことが一致したら、目をぎゅっと閉じ、
違っていれば舌をだすという方法で詩を完成させ、
その2ヵ月後、やっちゃんは15歳でこの世を去った。
やさしさこそが 大切で
悲しさこそが美しい
そんな 人の生き方を
教えてくれた おかあさん
自分を生み育ててくれた人に、あふれる想いを伝えたい。
時に、全身に汗をためながら言葉を選び、
生涯かけて、お母さんへの感謝を詩に託したやっちゃん。
生きることは、伝えること。
そう、やっちゃんに教えられる。
私はちゃんと、伝えられているだろうか。
涙が止まりません。
おかあさんとやっちゃん、言葉がなくても伝わっていたけれど、先生が言葉を紡いでくれて、二人の思いが多くの人へ愛を運んでくれます。