遊びの話 ホイジンガ
人間とは、一体。
この問いに、歴史家ホイジンガは一つの答えを見つけた。
すべて遊びなり。
人の営みは遊びから生まれ、また遊びそのものでもある。
ホイジンガは、人類を意味する「ホモ・サピエンス」という言葉にならい、
人間を、遊ぶ存在「ホモ・ルーデンス」と呼んだ。
人類のみなさん。遊び心をお忘れなく。
遊びの話 後白河天皇
平安時代の末期。
後白河天皇は、
庶民の流行歌を後世に残そうと
「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」という書物を作った。
たとえば、こんな歌。
遊びをせんとや生まれけん
戯(たわぶ)れせんとや 生まれけん
遊ぶ子供の声聞けば
わが身さへこそ動(ゆる)がるれ
遊びをしようと生まれてきたのか。
たわむれをしようと生まれてきたのか。
遊ぶ子どもの声を聞いていると、
私はどうにも感動してしまう。
天皇の心を惹いたのは、貴族の文芸にはない、素朴なリアリティ。
庶民の流行歌を楽しむこころを持った天皇は、
その遊び心を胸に、動乱の世へ立ち向かった。
遊びの話 横井軍平
人々を楽しませるアイデアは、
退屈している時間に考えるのがいいのかもしれない。
横井軍平という青年がいた。
地元京都の企業に就職したが、
任された設備機器の点検は
とても退屈な仕事だったので、自分でおもちゃを作り、暇をつぶした。
その様子を社長に見つかり、社長室へと呼び出される。
社長は言った。「それを商品化しろ。」
手元を閉じると伸びてものをつかみ、
開くと縮んでものを離すそのシンプルなおもちゃは、予想を超えるヒットとなった。
横井はその後、出張の新幹線で退屈している時、電卓で時間をつぶすサラリーマンを見て、
ゲーム&ウォッチという、電卓を利用した小型電子ゲーム機を思いつき、これも大ヒット。
枯れた技術の水平思考
既にある技術に、新しい光を当てるだけで、ヒット商品は作れる。
そう確信した横井は、おもちゃやゲームを作り続けた。
横井が勤める会社、任天堂が世界のゲーム市場を席巻するのは、
そう遠くない未来だった。