数学者のスイッチ①「ニュートンとハレー」
万有引力を発見したニュートンの元を、
ハレー彗星の発見者ハレーが訪れた。
彗星が引力で地球の周りを
回っていることは知っていたが、
その軌道がわからなかったのだ。
ニュートンに尋ねると即座に
「楕円だ」と答えた。
計算式を見せて欲しいと頼むと
「後で送る」と言われた。
返事が来たのはそれから約2年も後のこと。
届いたのは分厚い論文だった。これが、
「自然哲学の数学的論理」
通称「プリンキピア」と呼ばれるもの。
ガリレオやコペルニクスたち先人が成し遂げてきた
数学、天文学、物理学の発見の数々。
それらをひとつに体系づけたこの論文は、
自然の仕組みを数学的に解明した初めての書であり、
近代科学の夜明けであった。
熱心なキリスト教徒だった
ニュートンにとってこの宇宙は、
数字で記された聖書
だった。
彼は誰にも真似できない方法で、
神への愛を示してみせた。