石橋涼子 13年6月30日放送



プレゼントのはなし グレン・ミラーとプレゼント

ジャズのビッグ・バンド黄金時代を築いたと言われる
アメリカのミュージシャン、グレン・ミラー。
20代で主催したバンドの解散と破産を経験し、
第二のバンドは、妻の実家まで担保にして資金をつくった。

グレン・ミラーは、天才的に判断がはやく、主張を曲げない。
しかも周囲があきれるくらいの完璧主義。
バンドメンバーのなかには、グレンを尊敬するものと同じくらい
嫌うものが多くいた。

しかし全員が知っていることもあった。
貧しいバンドのためにグレンがいつも奔走していること。
時には自分のお金を出していること。
そして、必ずこのバンドが成功すると信じていること。

ようやくバンドが軌道に乗り始めた1940年のクリスマスイブ。
コンサートを終えたメンバー全員からバンド・リーダーに
プレゼントがあった。

 グレンへ。楽団員より。

それだけ書かれたクリスマスカードが添えられた、ビュイックの新車。

その瞬間、
一部のメンバーに冷血漢とまで言われたバンド・リーダーが
人目もはばからずに涙を流したのだった。

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