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カムバック! フェリックス・サンチェス
彼の名はフェリックス・サンチェス。
2004年、アテネ五輪陸上男子400メートルハードルで
祖国に初めての金メダルをもたらしたドミニカの英雄。
その英雄に人生最悪の日がやって来たのは、
栄冠から4年後の北京五輪だった。
その日、祖母が亡くなったという連絡を受けたサンチェスは、
失意のままに予選敗退。
その後は怪我も重なり、
サンチェスはもう終わったと言われた。
そして2012年。ロンドン五輪。
サンチェスは、再びオリンピックの舞台に帰って来た。
そこで観衆は34歳という年齢を感じさせない、驚異的な走りを目の当たりにする。
結果は金メダル。記録は47秒63。全盛期と言われたアテネ五輪と同じタイムだった。
4年前の悲しみに思いを馳せ、祖母の写真を胸に抱き、大粒の涙を流した。
多くの人にそろそろ引退しろと言われた。
この結果を誰も予想できなかっただろ
レース後にそう語ったサンチェス。
8年ぶりの表彰台で流した涙は、やがて大きな笑顔に変わった。