2013 年 12 月 のアーカイブ

礒部建多 13年12月15日放送



五輪ポスターと電話

堂々と佇む日の丸。
それを支える様に、
金の輝きを放つ五輪マーク。
亀倉雄策がデザインした
1964年東京五輪のポスターだ。

日本のデザインの発展に寄与した功績を認められ、
五輪ポスターのコンペに招かれた亀倉だが
〆切当日、委員会から催促の電話を受けるまで
提出期限を忘れていた。
その電話から、わずか2時間で彼は
あのダイナミックなデザインを仕上げたのだ。

シンプルで力強い、そのポスターは
20点以上の案から満場一致で選ばれた。

もしあの時、
電話に出られなかったら、
この歴史的デザインは、
幻になっていた。

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奥村広乃 13年12月15日放送



電話と不自由

ピンク・レディ『UFO』、
都はるみ『北の宿から』など
名曲の数々を手掛けた作詞家、阿久悠。

愛する人に会えない切なさ、
新しい愛に気が付いた胸のときめき、
愛を失った悲しみなど、
さまざまな愛の形を、言葉で紡いだ彼は
こんなエッセーを残している。

「若者よ、自由を欲するなら、まず電話を手放せ!

僕らは、逢って、語って、別れてから、
その次に逢うまでの時間は、完全な祈りであった。
心変わりの心配も、祈るしかない。それが恋愛であろう。

24時間電話を掛けつづけ、
完全に相手の行動を把握しようとする心に、
恋愛はたぶん芽生えない。

電話を悪役にするつもりはないが、
人間はもっと人間らしさを恋しがり、
人間を主張する必要はあるだろう。」

24時間つながれる。
この安心と便利さは、
自由を犠牲にしているのかもしれない。

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小林慎一 13年12月14日放送


Kerri Lee Smith  
強さは重さ 猫

二匹の猫を飼う。
一匹は茶虎のオス。もう一匹は黒猫のメス。

オスはゆったり、メスは俊敏である。
エサをあげると、真っ先に口につけるのはメス猫で、
猫じゃらしに対する前足の反応も鋭く、
ジャンプ力も比べ物にならないくらい高い。

しかし、ケンカをすると必ずオス猫が勝つ。
メス猫が得意のアジリティを発揮し、
鋭い前足のジャブで徐々にオス猫を追いつめる展開は、まずない。

猫博物館の館長、今泉忠明先生によると、猫科の動物は
「獲物を捕らえるという目的に向かって
 ひたすら進化した究極の生き物」だそうだが
同じ猫同士で戦うと、強い弱いは、ほぼ体重が決める。

技を磨き、鍛錬を重ね、
小よく大を制するのは、人間だけである。

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小林慎一 13年12月14日放送


Andy Hay
プロは強い 肉食動物

森の王ゴリラ。
体重200キロ、握力1トン。
手が使え、知能が高い。
さぞケンカが強そうだ。
しかし、ゴリラの研究者ジョージ・シャラーは
体重50キロ程度のヒョウに捕食された実例を報告している。

イタチの仲間、グズリ。オスの平均体重は15キロ。
雑食で果物や小動物を食べているが
食料の乏しい冬には
体重150キロのヘラジカを捕らえるという。

インド象のオスが、トラに殺された例がある。
7cmにもなる牙を使い、じょじょに体力を奪い、失血死させたようだ。
足場が悪く、ゾウは実力を発揮できなかったと見られる。
しかし、条件が有利な場所で襲うという狡猾さを持つのもまた、
肉食動物の特徴だ。
どの世界も、やはり、プロは強い。

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小林慎一 13年12月14日放送


Cojharries
秘められた強さ 草食動物

動物学者のグッギイスベルクは
世界動物記「シンバ」で、こう書いている。

「ライオンがいる地域では
 ライオンの餌食となりえない動物はほとんどいない。
 しかし、ゾウとサイのみ別格である。」

体重3.5トン、時速45キロで突進し、
強烈な角の一突きが武器のシロサイ。
そして、体重7トン、皮膚の厚さ10cm、牙の長さ3m、
足踏みの衝撃は100トン以上のアフリカゾウは、
まさに陸上動物最強。

しかし、カバの強さも忘れてはいけない。
体重2トン、150°開く口、50cmの牙、噛む力1トン以上。
縄張りに侵入者があると獰猛になり、
ワニ、ライオン、人だろうと容赦なく襲う。
アフリカでもっとも人間を殺している動物がカバである。
キレるヤツには、近づかないのが得策なのだ。

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小林慎一 13年12月14日放送


Ryan Kilpatrick
地上最強の動物は

古代コロッセオでの
ライオン対トラの対戦成績は、7勝3敗でトラの勝ち。
しかも、トラはアムールトラよりも小さなベンガルトラで、
ライオンは大型のバーバリライオンだった。

また、ケンブリッジ大学動物学部は、
一対一ならカバはライオンに勝るとの見解を示している。
ライオンに捕食されたことのないゾウ、サイが別格だとすると、
ゾウ、サイ、カバ、トラ、ライオン
が強さの序列だろうか。
この結論は、動物学者小原秀雄の記した
「猛獣もし戦わば」に近い。

しかし、サバンナには、まだ強いヤツがいる。
キリンである。
身長5m以上ありながら、時速50kmで走り、
後ろ足の蹴りは、一発でライオンの頭蓋骨を粉砕する。
強烈な首の一撃でジープを破壊したことも。
しかも、キリンはゾウにその広い視野を、
ゾウはキリンに鋭い嗅覚を提供し、
一緒に行動しながら、敵を監視し合っている。
いわば、同盟を結んでいるのである。
強いものを味方につける。
政治力を持ったヤツこそ、最強か。

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大友美有紀 13年12月8日放送


Andy Hay
「ジョン・レノンへ」 U2ボノ・盗み返した。

12月8日、ジョン・レノンが凶弾に倒れた日。
イギリスのロックグループ、U2の
ヴォーカリスト、ボノは、
1987年、ヨシュアトゥリー・ツアー、
ロサンゼルスのスタジアムで、ある曲をこう紹介した。

 チャールズ・マンソンが
 ビートルズから盗んだ曲を盗み返した。

そして「ヘルタースケルーター」が始まった。

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大友美有紀 13年12月8日放送


The_Admiralty
「ジョン・レノンへ」 U2ボノ・サージェントペパーズ

12月8日、今日はジョン・レノンの命日。
イマジンが流れ続けているでしょう。
2005年、世界の貧困を止めたいという思いで
LIVE 8というイベントが開催された。
イギリスのロックバンド、U2のボノは、
その日、ポール・マッカートニーと共に
「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を歌った。

 もし、ジョン・レノンと知り合うことができたら、
 本当に仲良くなれただろう。
 ジョン・レノンの代役を務めたことを誇りに思うよ。

レノン&ボノ、私たちも聞いてみたかった。

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大友美有紀 13年12月8日放送


Wonderlane
「ジョン・レノンへ」 ジュリアン・LSD

ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイアモンズ」は、
その頭文字、LSDからドラッグに関係していると解釈され
BBCで放送禁止になった。
けれど、それはジョン・レノンの息子、ジュリアンが4歳の時に
保育園で描いた絵からインスピレーションを得たものだった。
ポール・マッカトニーもその日のことを覚えている。

 僕はウェイブリッジのジョンの家を訪ねていたんだ。
 お茶を飲んでくつろいでいると、ジョンが
 「ジュリアンが描いたすごい絵をみてくれ、
  タイトルも見てよ」と言った。
 小さい女の子と、まわりにたくさんの星が描いてあった。
 絵の上の方には、子どもらしい、とてもていねいな字で
 「ルーシーがダイアモンドといっしょにお空にいる」
 と書いてあった。

それで2階に上がって曲を作り始めた。
この曲のシュールな詞は
「不思議の国のアリス」にも影響を受けている。
子どもの自由な発想を歌った曲だったのだ。

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大友美有紀 13年12月8日放送



「ジョン・レノンへ」 伯母ミミ・ギター

ジョン・レノンは、5歳のとき、母方の伯母であるミミに引き取られた。
ジョンが12歳のとき、夫を亡くしたミミは、
その後も女手ひとつで彼を育て、最初のギターを買い与えた。

 ギターを弾くのはいいけど、
 音楽で身を立てようなんて思うんじゃないよ。

彼女がジョンに与えた有名な言葉だ。
けれど、ジョンとビートルズは実際に音楽で身を立てる。
身を立てるというレベルではない成功を収める。
ジョンはミミのためにイギリス南部の美しい港町に家を建てた。
ミミはそこで余生を過ごし、ジョンの11年目の命日の2日前、
1991年12月6日に永眠した。

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