steve lorillere
新美南吉 ~ほんとうのごんぎつね~
作家、新美南吉。
29歳の若さでこの世を去った彼は、
今年、生誕100年を迎えた。
全国の教科書に採用されたことで
広く知られるようになった「ごんぎつね」。
孤独なごんぎつねが、
誤解によって、兵十(ひょうじゅう)の火縄銃に倒れるラストシーンは、
多くの子どもたちの心に焼きついた。
「ごん、おまえだったのか。いつも栗をくれたのは。」
ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
だが、自筆の原稿の一行は、少しちがう。
ごんは、ぐったりなったまま、うれしくなりました。
兵十への想いがやっと通じたうれしさが、
命を絶たれた悲しさを上回る。
つぐないの物語だと思っていた「ごんぎつね」が、
たった一行のちがいで、愛の物語へと変化する。
「ごんぎつね」は、ほんとうはハッピーエンドなのだ。