はじまりのはなし 柴田元幸
アメリカ文学の研究者、柴田元幸は
書き出しだけをあつめ、自ら新訳を行った世界文学全集の中で、
あの有名な物語のはじまりを、こう訳した。
私は猫だ。いまのところ名前はまだない。
ひとことで、世界が決まっていく。
だからこそ、物語のはじまりに
作家の力は注がれる。
はじまりのはなし 柴田元幸
アメリカ文学の研究者、柴田元幸は
書き出しだけをあつめ、自ら新訳を行った世界文学全集の中で、
あの有名な物語のはじまりを、こう訳した。
私は猫だ。いまのところ名前はまだない。
ひとことで、世界が決まっていく。
だからこそ、物語のはじまりに
作家の力は注がれる。
はじまりのはなし キケロにとっての「はじまり」
新しい1年が、また始まった。
先行き不透明な、今日このごろ。
目標は心の中にあるけど、
カタチにできる自信が無い・・・
そう尻込みする人たちに、
古代ローマの哲学者、
キケロの言葉を贈りたい。
始まりは、どんなものでも小さい。
armycat
はじまりのはなし 野矢茂樹の「はじめて考えるときのように」
あなたが生まれてはじめて
「考える」という行為をした時、
頭の中には、どんな景色が浮かんでいただろう。
目の前の世界は、どのように映っていただろう。
哲学者の野矢茂樹の著書に、
『はじめて考えるときのように』という本がある。
副題は「『わかる』ための哲学的道案内」。
それは、考えるということについて、考える本。
中学生くらいの子どもに寄り添うような
優しいまなざしでつづられた文章の中で語られるのは、
私たちの考えが日頃、いかに多くの「当たり前」や
「見えない枠」にしばられているかということ。
そして、ヒト・モノ・コト、出会ったすべてを
頭につめこんで、ゆさぶったのち、空っぽにする。
そのくり返しこそが、「考える」ことではないかと
野矢は言う。
本当に「考える」ということ。
それはきっと、はじめて考えるときのように、考えること。
「一」番手の背中/柳本晶一監督
女子バレーボールの柳本晶一監督。
シドニー五輪で13位と
史上最低順位にいたチームを、
次のアテネ五輪で五位にまで引き上げた。
柳本監督のあきらめない力は、
現役時代に育まれた。
天才セッター猫田勝敏の二番手に
甘んじ続けた悔しさだ。
柳本は言う。
「技術では自分が勝っていた。」
しかし、
「猫田には人間力があった。
猫田の上げたトスを打ってやるんだ。と、
ストライカーに思わせる力があった。」
二番手から見た一番手の背中が、
いちばん遠い。
しかし、その悔しさ以上に、
二番手を成長させるものは、ない。
t-miki
「一」瞬で見えるもの 高倉健と岡村隆史
日本アカデミー賞授賞式。
そうそうたる俳優陣に混じり、
話題賞を受賞し壇上に立った、芸人岡村隆史。
「高倉健さんみたいな俳優になりたいです。」
周囲から失笑が起こり、
すべった…と岡村が思った瞬間、
客席から拍手が聞こえた。
そこにいたのは、高倉健そのひと。
「健さんのおかげで、会場が明るくなった。
助けていただいた。」
と、岡村はいまでも深く深く感謝している。
たった一瞬で、
人間の器の大きさが、見えてしまうことがある。
そこで見えるものは、おそらく、正しい。
「1」にまつわる関係
「今日の1分を笑う者は、明日の1秒に泣く。」
これはイギリスの政治家、
フィリップ・チェスターフィールドの名言。
少しの時間でも大切にしなさい、という格言であるが、
日本にも、似た意味のことわざがある。
「一円を笑うものは、一円に泣く。」
時間とお金、別の概念ではあるが、本質的な考え方は同じ。
時間とお金とは、浪費されがちなものの代表のようだ。
そして、お金と時間の関係で言えば、古くからこんな言葉もある。
Time is money.(時は金なり)
時間とお金、両方を大切にするのは、人間の永遠のテーマかもしれない。
miguel77
「1」対「1」
1対1。
チームプレーのスポーツにおいても、
時として個人同士の能力のぶつかり合いを見ることができる。
ポルトガルの名サッカー選手、ルイス・フィーゴは、
その卓越したドリブル能力への自信から、
「1対1になったら勝負しないわけにはいかない。
なぜならオレはドリブラーだからだ」と言った。
バスケットボールのマンガ、「スラムダンク」では、
ずば抜けた個人能力を持つ流川に対し、ライバルの仙道は言う。
「1対1もオフェンスの選択肢のひとつにすぎねえ。
それがわからねえうちは、おめーには負ける気がしねえ」
チームプレーを大切にするからこそ、個人能力が生きるのだ、ということ。
1対1か、チームプレーか。いずれも、正しい考え方のように思える。
あなたはどちらの考え方が、好きですか?
japanesefilmarchive
はじまりの言葉/増村保造(ますむら やすぞう)
フェリーニやヴィスコンティに学び、
斬新な演出で戦後の日本映画に
新風をふきこんだ映画監督、増村保造。
日本的な情緒や雰囲気を嫌い
個人が発する「自我」を強烈に描きつづけた。
登場人物が強烈なら、演出方法も強烈。
死へと疾走する遊郭の女性を描いた「曾根崎心中」。
ヒロインの恋人役を演じた宇崎竜童に対する
撮影開始の合図は
「よーい、強く喘いで死ぬ気で、スタート!」
だったという。
serakatie
はじまりの言葉/リチャード・バック
何十年も生きてきて、
毎年、年の初めには、抱負のようなものも考える。
けれど、わからないのである。
一年一年、抱負が自分を成長させたのか。
むしろ、抱負負けして、
毎年どんどんダメになっているのではないか。
それでも、と「かもめのジョナサン」の作者
リチャード・バックは言います。
やっぱり自分の歌をうたい続けることだと思うね。
思いわずらい、駆けずり回りながらでも
自分の歌だけはうたい続けるわけだ。
2015年、
あなたの歌を大きな音で聴きたいです。
santiagodn
はじまりの言葉 安田登(やすだのぼる)
新しい年のはじまりとともに、
何かを決意する人は多い。
しかし、そうした思いのほとんどは、
日常に押し流され、
どこか遠くへ消えていく。
能楽師、世阿弥が語った
「初心、忘るべからず」という言葉。
その意味について、
古代文字の研究者でもある能楽師、安田登はこう語る。
初心の「初」の字は「衣」と「刀」です。
着物をつくるときに、
布地に最初にはさみを入れること、それが「初」です。
着物をつくるときには、それがどんなに美しい生地であっても、
そこにはさみを入れなければつくれない。
世阿弥が語った、初心。
その言葉にはもともと、
自らの過去に切れ目を入れ、変化を起こす強い心や、
過去と決別する、変化への切実な思いがこめられていた。
さあ、あらためて、
今年の初心はいかがですか。
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