2015 年 3 月 21 日 のアーカイブ

藤本宗将 15年3月21日放送

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Spring has come! 菅原道真の春

 東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 
 梅の花 主なしとて 春な忘れそ

主人がいなくなっても、春を忘れるな。
大宰府に流されることになった菅原道真は、
庭先の梅を眺めながらこの歌を詠んだ。

春風を待って花を咲かせる梅は、
かつて「風待草」とも「春告草」とも呼ばれていた。
古代の日本人にとって、
春を告げる花といえば桜よりも梅だったのだ。

道真に愛情をかけられた梅は主人を慕い、
九州まで飛んでいったという飛梅(とびうめ)伝説がある。

いまも大宰府天満宮にある飛梅は、
白い八重の花で春の到来を知らせてくれる。
境内にある6千本の梅の中で
最も早くほころぶのだそうだ。
千年前の約束を、梅はまだ忘れていない。

今年の開花は、昨年より半月ほど早かったそうだ。
また、新しい春がきた。

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上遠野茜 15年3月21日放送

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Spring has come!  高峰譲吉の春

アメリカ、ワシントンD.C.。
遠く離れたこの街にも「日本の春」が来ることを、
あなたは知っているだろうか。

ポトマック湖畔のほとりに咲く3000本の桜。
科学者・高峰譲吉の尽力によって
日本から贈られた桜たちだ。

エリート官僚の道を捨て、アメリカに渡った高峰。
頼る者もいないその地で
困難にぶつかりながらも挑戦を重ね、
やがて多くの研究成果を上げる。
1901年、彼の抽出したアドレナリンは
医学界の大発見となった。

はるばる太平洋を渡り、
アメリカに根を下ろした桜の木々。
異国の地で、今では見事な花を咲かせるその姿は
まさに高峰の生き様そのものだ。

厳しい冬を乗り越えるから、春は美しい。
今年もワシントンには
大勢の人が日本の春を慈しみにやってくる。

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村山覚 15年3月21日放送

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Spring has come!  マイルス・デイヴィスの春

ジャズの帝王、マイルス・デイヴィス。
彼はある時こう言った。

「まず演奏するぞ、曲名は後で教える」

1954年に演奏されたこの曲の名は”Swing Spring”。
今この時期に聴きたくなるタイトル。

この曲が演奏される2、3年前は、
マイルスにとって冬の時代、低迷期だった。
演奏の予定をすっぽかしたり、
商売道具のトランペットを質に入れて
ドラッグのための金にするなど、
生活は荒れに荒れていた。

しかし、マイルスは第一線に返り咲いた。
この”Swing Spring”と同じ年の春に録音された
アルバムのジャケットには、青信号が灯っている。
タイトルは”WALKIN’”。

春は、はじまりの季節。
まず歩き出すことで、道はひらける。

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福宿桃香‬ 15年3月21日放送

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Spring has come!  雪舟えまの春

歌人・雪舟えまの「たんぽるぽる」は、
自分自身の15年間を凝縮した、第一歌集。

表題として選んだのは、
結婚したての女性の気持ちを描いた、春の歌。

たんぽぽが たんぽるぽるに なったよう 姓が変わった あとの世界は

大好きな人と結ばれた幸せを、
春のたんぽぽに託している。

あとがきで、雪舟はこう語っている。
すきな人と暮らして、すきなだけお菓子を食べて暮らしたいとおもっていた。
その夢を今生きている。

季節は、もう春です。

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