創造のジンクス①「ウルフの裸」
トマス・ウルフは焦っていた。
初の長編小説「天使よ故郷を見よ」を
書いた情熱がどうしても取り戻せない。
その夜もまた彼は
インスピレーションを得られぬまま
服を脱ぎベッドへ向かった。
しかし裸で窓の前に立った瞬間、
書くことへの情熱がみるみる溢れてきた。
以来、創作で行き詰まるたび、
彼はこの方法で執筆意欲を高めた。
背が2mあり、冷蔵庫を机代わりにするほど
身体的に発達していたウルフ。
自らの肉体美を愛でることで、
内なる野生を呼び覚ましていたのだろうか。