藤本宗将 15年4月11日放送
チェ・ゲバラ
革命家というものは、やはり情熱的なのだろうか。
キューバ革命の英雄チェ・ゲバラは
ゲリラに志願してきた女学生にひとめぼれをした。
のちに妻となるアレイダ・マルチ。
あるときゲバラが腕を骨折すると、
アレイダは持っていたスカーフで彼の腕を吊って手当てした。
それがよほど嬉しかったらしい。
ゲバラはのちにこう書き残している。
絹のスカーフ。これは特別なものだ。
腕を怪我したのではないかと彼女がくれた。
愛のこもった包帯として。
厄介なのは、僕が頭を割られたときの使い道だ。
だが、いい方法があった。
頭に巻いて顎を支えれば、
そのままスカーフとともに墓に行ける。
死んでも忠実でいられる。
その後ゲバラは新たな革命をめざし単身ボリビアに渡るが、
捕えられて命を落とす。
死後30年してようやくキューバに戻った遺骨のそばに、
妻はそっとスカーフを納めた。
最後まで、愛と革命に忠実な人生だった。