廣瀬大 15年7月12日放送
Clint Koehler
物語を愛した河合隼雄
「人間」そしてその「こころ」に興味を持ち、
優しい眼差しで人々の「こころ」の研究を続けた
心理学者・河合隼雄。
日本におけるユング派心理学の第一人者である彼は
夢の分析により人の「こころ」を恢復する手法や、
箱庭療法を日本に紹介した。
夢分析も箱庭療法も
その人の「こころ」の奥底に眠る
物語を発見し読み解くことからはじまる。
彼は幼いころから物語が大好きだった。
また、同時に数学が大好きな理論派でもあった。
当時学校で教わるのは
軍国主義の影響下にある日本神話など。
軍隊が嫌いだった彼は、
物語のおもしろさに気づきつつも、
それを認めたくない。
そんな複雑な気持ちを持っていたという。
「なに言うとるんや、あほな」という
軍国主義に対する気持ちと
夢中になって読み漁っている物語に対する愛情が、
隼雄少年にこんなことを言わせている。
「人間の先祖が猿やったら、
進化論的にいうと、アマテラスは
いちばん猿に近かったのと違うか」
自分の見た夢を忘れてしまうように、
この発言を河合隼雄は覚えていないという。