内田百間 イヤダカラ、イヤダ。
偏屈すぎる随筆の神様、内田百間。
名誉ある日本芸術院の会員を辞退したときの
イヤダカラ、イヤダ。
という台詞は、あまりに有名。
この言葉、実はずいぶん端折られている。
正しくはこうだ。
推薦のお礼を丁重に述べた上で、
「サレドモ」とつづける。
ゴ辞退申シタイ。ナゼカ。イヤナノデス。
これだけでも十分ひねくれ者だが、
百間は止めない。
ナゼイヤカ。気ガ進マナイカラ。
ナゼ気ガ進マナイカ。イヤダカラ。
もう、まったく理由になっていない。
こうなれば、
冒頭の感謝の言葉は響きを変え、
慇懃無礼にしか聞こえないのだから、
さすが百間、というほかない。