与謝野晶子と温泉 三朝温泉
歌人、与謝野晶子は、日本中の温泉を巡った。
ただし優雅な温泉旅行ではない。
家計を支えるため、そして雑誌を発行する資金集めのために、
全国各地で講演や揮毫(きごう)を重ねた。
その合間に立ち寄ったのが温泉だった。
鳥取県の三朝温泉(みささおんせん)には、夫の鉄幹とともに訪れている。
日本でも珍しいラジウム泉のひとつだ。
水と灯の 作る夜色の めでたきを 見んは都と 渓あひの湯場
この歌を聞くだけで、名湯だということがわかる。
与謝野晶子と温泉 三朝温泉
歌人、与謝野晶子は、日本中の温泉を巡った。
ただし優雅な温泉旅行ではない。
家計を支えるため、そして雑誌を発行する資金集めのために、
全国各地で講演や揮毫(きごう)を重ねた。
その合間に立ち寄ったのが温泉だった。
鳥取県の三朝温泉(みささおんせん)には、夫の鉄幹とともに訪れている。
日本でも珍しいラジウム泉のひとつだ。
水と灯の 作る夜色の めでたきを 見んは都と 渓あひの湯場
この歌を聞くだけで、名湯だということがわかる。
turnerw82
与謝野晶子と温泉 指宿温泉
温泉好きの人にはおなじみなのが、
温泉地に佇む歌碑だ。
与謝野晶子は、際立って歌碑の多い文人のひとりだろう。
一カ所に逗留して執筆をするのではなく、
定宿を持たずに全国を旅していたことには驚かされる。
九州にだって何度も足を運んだ。
しら波の 下に熱沙の隠さるる 不思議に逢へり 揖宿に来て
指宿の砂むし温泉。
砂に埋もれてご満悦の表情が目に浮かぶ。
さちどん
与謝野晶子と温泉 五色温泉
歌人、与謝野晶子は、
全国で100を超える温泉に赴いたという。
有名な温泉だけでなく、山間の秘湯にも足を伸ばしている。
信州の五色温泉もそのひとつだろう。
山深い松川渓谷に、彼女は紅葉の時期に訪れたようだ。
湧き出すときは無色透明だが、
天候や時間帯によってさまざまな色に変化する。
歌の中にも色のイメージが溢れている。
五色の湯 板のかこひの 内側に うす墨となる 秋の夕ぐれ
雪景色となった風景も、ぜひ歌にしていただきたい。
チャコ
与謝野晶子と温泉 伊豆・箱根の温泉
歌人、与謝野晶子には苦労が絶えない。
11人の子を養いながら借家を転々とし、
25年の間に8回も引っ越している。
だが50歳を越え、子どもが少しずつ巣立っていくと
湯宿に赴く回数も増えていった。
なかでも箱根や湯河原には毎年のように足を運んでいる。
それほど、このあたりの温泉が気に入っていたのだろう。
堂ヶ島温泉では、こんな歌を詠んだ。
夕まぐれ 樋の湯烈しく 落ち来り 浴槽あはれに 揺れもこそすれ
箱根には有名な温泉が七湯あると言われており、
彼女は、20回以上も訪れたという。
山荘へ 玉簾の瀧 流れ入り 客房の灯を もてあそぶかな
癒されたくなったら、のんびり湯浴みにでかけませんか。
与謝野晶子と温泉 有馬温泉
歌人、与謝野晶子は
61歳のとき脳溢血で倒れた。
昭和15年5月のことだった。
ひと月前に吟行(ぎんこう)の旅をしており、
京阪神方面へ向かっている。
六甲から須磨へ。鞍馬山の九十九折は駕籠で登り、
天橋立などを見物するルートだった。
このとき立ち寄ったのが、有馬温泉だ。
長い歴史を持ち、日本三古湯(にほんさんことう)にも選ばれているが
彼女が湯浴みをした最後の温泉になってしまった。
残念ながら、このときの歌は残されていない。
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