三島邦彦 16年2月13日放送
Steve took it
明日、2月14日。 橋本治
「桃尻語訳 枕草子」で知られる作家、橋本治は、
1985年の冬、
「恋愛論」というタイトルで講演をした。
恋愛論というタイトルながら、
論を語ることはなく、
初恋は同級生の男の子という話から始まり、
自らの過去を吐露し続けた。
脱線に次ぐ脱線の中で、
小学生の頃に母親がいかに
自分を心配してくれていたかを話していた時、
突然話を止めてこう言った。
ちょっと泣きます。
そしてしばらく泣いたあと、再び話をはじめる。
なぜ泣いていたのかは話さずに。
そのとても個人的な涙は、聴衆を驚かせ、
この講演を長く語り継がれるものにした。
橋本は言う。
愛は一般論で語れるが、恋愛は一般論では語れない。
それは、恋愛というものが非常に個人的なことだから。
明日は2月14日。バレンタインデー。
あなたはあなたの、あなただけの恋愛を味わってください。