森由里佳 16年2月14日放送
バレンタインデー⑥ 愛を書く人
「愛している。」
なんて、あまい言葉は舌に合わない。
明治の日本に、そんな男がいた。
彼が妻と結婚して、4年ほど経ったころ。
男は、英語教育の研究のため、国から留学を命じられる。
行き先はイギリス。
遠く離れた異国の地での2年間、
さすがの日本男児も、妻にあてた手紙には本音をつづった。
おれの様な不人情なものでも、頻り(しきり)にお前が恋しい。
これだけは奇特と云って褒めてもらわなければならぬ。
愛という言葉を使わずに愛を伝えたその男の名前は、夏目漱石。
今日は、愛を伝える日。