2016 年 4 月 17 日 のアーカイブ

澁江俊一 16年4月17日放送

160417-01

最初の恐竜

今日は、恐竜の日。

恐竜の存在を最初に知らしめたのは
イギリス人医師ギデオン・マンテル。

19世紀前半に彼が見つけたイグアノドンの歯は
まわりからは哺乳類のものだと指摘され
なかなか信じてもらえなかった。

その歯が化石であることを証明するため
マンテルは地層を丹念に調べ、次々と化石を発見する。
すべてを恐竜に費やした結果、彼は破産。
知人の勧めで自宅を博物館にするが
入場料を無料にしてしまい、潰れてしまう。

まだ世界中の誰も信じていないものを、信じさせる。

そのためには自分一人の人生など惜しくないと
マンテルは、信じていたのかもしれない。

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松岡康 16年4月17日放送

160417-02

イグアノドン晩餐会

1853年ロンドン。
イグアノドンの体内で晩餐会が開かれた。

会の主催者は古生物学者リチャード・オーウェン。

彼はロンドンで開催される世界初の恐竜展に向けて、
イグアノドンなどの復元模型の制作監督を務めていた。

当時はまだ完全な全身骨格が発見されていなかったため、
復元は難航したという。

完成間近の1853年の大晦日。
オーウェンは建造途中のイグアノドンの体内で晩餐会を主催した。

1億年も前の生物を想像し、復元させてみせた。
イグアノドンの体内でオーウェンがかみしめていたのは
大きな達成感だったのかもしれない。

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奥村広乃 16年4月17日放送

160417-03
Kabacchi
伝わる名前

福島県、いわき市。
大久川(おおくがわ)の崖で発見された
スズキフタバリュウ。
自己資金ではじめられた化石発掘は、
すぐに資金が底をつくことになる。

当時、国立科学博物館に勤めていた長谷川善和(はせがわよしかず)。
彼は、資金難を克服すべくスズキフタバリュウのPRを開始した。
国内の専門誌や博物館のニュース。
できる限りの宣伝をおこなった。

その時大切にしたのは、
一般の人たちにまで広まること。
蛇頸竜(だけいりゅう)や、長頸竜(ちょうけいりゅう)という
専門用語を使わず、
多くの人にわかりやすい、
「クビナガリュウ」という名前を使った。

名前は、名付け親だけのものではない。
呼んでくれる人たちのことを考えてつける必要がある。
多くの人が読めること。
伝わりやすいこと。
それが出来てはじめて、
人々に親しまれ、愛され続けることが出来る。

いまや、恐竜や大型は虫類の研究で世界に知られる長谷川氏。
彼はすぐれたコピーライターでもあったといえよう。

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澁江俊一 16年4月17日放送

160417-04

恐竜ハンター

今日は、恐竜の日。

恐竜の卵の化石を最初に発見したのは
20世紀初頭に活躍したアメリカ人の探検家
ロイ・チャップマン・アンドリュース。

アンドリュース探検隊は
今や恐竜化石の産地として知られるゴビ砂漠で
自動車を駆使し、多くの恐竜化石を発見した。
世界で初めて、恐竜の卵の化石を見つけたのも彼らだ。

 私は探検家になるために生まれてきた…
 探検家になるにあたって選択の余地はなかった。
 私は他に何もできないが、幸せである。

そう語った彼は、
あのインディアナジョーンズの
モデルの一人とも、言われている。

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礒部建多 16年4月17日放送

160417-05

恐竜のif

「もし恐竜が絶滅していなかったら。」
そんな問いを研究する古生物学者がいる。

デイル・ラッセル。
提唱するのは、ディノサウロイド。
進化を続けた結果、
人間に似た形態を採りえるという仮説だ。

見た目はまるで、
爬虫類の頭を持った人間のよう。
二足歩行で、言語に近い文明さえ持つという。
突飛な仮説に、一部の学者からは批判を受けた。
しかし同時に、そのSFのような内容に
多くの人々が胸を踊らせた。

絶滅の本当の理由など、
恐竜にはまだまだ謎が多い。
謎がある限り、学者たちの夢は絶えることはない。

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礒部建多 16年4月17日放送

160417-06

恐竜の声

本当の恐竜の鳴き声を、まだ誰も知らない。
現代で再現されているそれは、
骨格を参考に考案された音にすぎない。

映画、ジュラシックパークで、
音響デザインを担当したゲイリー・ライドストロームは、
想像の斜め上をいく方法でそれらを再現した。
ヴェロキラプトルという恐竜のうめき声は、亀の交尾の音。
荒々しい鼻息の正体は、馬の声。
そしてティラノサウルスの声は、
彼の愛犬の鳴き声が使われたという。

とある専門家は、
そもそも恐竜は鳴き声を発することが出来なかったとも言う。
本当の恐竜の声はどんなものなのか。
ゲイリーが生み出したそれは、覆されるのだろうか。

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松岡康 16年4月17日放送

160417-07

ゴジラという名の恐竜

世界で最も有名な怪獣といえばゴジラだ。

1954年に公開すると観客動員数は961万人を突破。
アメリカなど日本国外でも上映されて大ヒットとなった。

そんなゴジラの名を
学名に持つ恐竜がいるのをご存じだろうか。
その名もゴジラサウルス。

アメリカで骨格の一部が発見され、
1997年に新属新種として記載された。

名をつけたのは怪獣マニアのケネス・カーペンター博士。

幼少時に母と共にゴジラの映画を観たことが
恐竜学の道に進むきっかけであったという。

空想の怪獣だったゴジラが、実在の恐竜となった。

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奥村広乃 16年4月17日放送

160417-08

偉業を支える人

48年前。
その発見は、日本中を熱狂させた。

福島県、いわき市。
のどかな田園風景のすぐそばで、
古代生物の化石が発見されたのだ。
それは後にスズキフタバリュウと名付けられる、
日本初のクビナガリュウの化石だった。

スズキフタバリュウの発掘は、
地元の人の熱意で支えられた。
中でも馬上(もうえ)石材の職人は
発掘の初期から関わっていた。
クビナガリュウの分類で重要な
頭の骨を掘り起こしたのは、彼らだったという。
現地の地層を見て、
的確にタガネを打ち込んでいく。
そのプロの技に、立ち会った研究者は息を飲んだ。

世界の偉業は、
名の知れない職人達の活躍無しには
成し遂げられない。

スイッチを押せば流れるこのラジオの音も、
数えきれないほど多くのプロ達によって
支えられているのだ。

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