コーヒーはいかが? 〜プチ・ノワール〜
1672年、サンジェルマンの博覧会で
アルメニア人のパスカルという男によって
パリではじめてコーヒーが販売された。
トルコ人の少年たちが給仕したり、
小さなカップを盆に載せて、人混みの中を売り歩いていたという。
コーヒーは、「プチ・ノワール」と呼ばれ、好評を博した。
その後、パスカルはコーヒーハウスを開業したが、
東洋風のカフェは
貧困階級の人々のためのものというイメージが当時はあったため、
売り上げは今ひとつで、結局店をたたむことに。
時は経ち、1689年。
それまで東洋風だったコーヒーハウスと一線を画した、
純フランス風のカフェ「カフェ・ド・プロコープ」が登場。
創業者であるフランソワ・プロコープは、
上流階級の人々を狙って、
新築間もない劇場コメディー・フランセーズの真正面に開業した。
それが功を奏し、大勢の人々の溜まり場となり、
多くの役者、作家、劇作家、音楽家などが集う文学サロンとなった。
革命期には、政治家やジャーナリストたちが、
コーヒー片手に激論を交わしていたんだとか。
時には、芸術を愛する者たちが集い語り合う場として、
時には、切迫した問題を激しく論じ合う場として、
コーヒーハウスは、人々の生活に密着し、愛されていった。