大友美有紀 18年2月4日放送
brizzle born and bred
「カオス トゥ クチュール」ヴィヴィアン ウエストウッド パンク
わたしとマルコムがいなければパンクは決して生まれなかった。
そして、もうひとつ知っておいてほしいのは、
パンクとは完全なる爆発であること。
始まりはキングス・ロード430番地の知り合いの店だった。
マルコムは50年代のロックンロールのレコードを売っていた。
ヴィヴィアン ウエストウッドは50年代のスーツのレプリカを作って売った。
やがてアレンジを加えたTシャツを売りはじめる。
マルコムは音楽とアートが共存する場がファッションだと言った。
古いものを壊して新しいものをつくる。思想としてのファッション。
ヴィヴィアンは、Tシャツにチェーンやジッパーをつけ、
タバコで焦げ目をつけ、過激な図案や扇動的な文章をデザインした。
Tシャツは、カンバスだった。性と政治と芸術が出会う場所だった。
当時のわたしの仕事は、そしてわたしが常にやってきたのは、
体制と対峙して、自由はどこにあり、
自分にはなにができるかを模索することだった。
その取り組みを一番わかりやすく実践できたのが、
Tシャツづくりだった。
閉塞的なムードに包まれていた当時のイギリスにとって、
憤怒と非道と怠惰が融合した表現は、若者たちの心に何かを訴えかけ、
やがてパンクとなっていった。