norihito
お鍋はいかが
鍋料理ほど新鮮な料理はない。
と言ったのは、かの北王子魯山人。
材料が生きている。
料理する者が緊張している。
そして、出来立てを食べるのだから。
と、つづける。
今晩、お鍋はいかがですか。
norihito
お鍋はいかが
鍋料理ほど新鮮な料理はない。
と言ったのは、かの北王子魯山人。
材料が生きている。
料理する者が緊張している。
そして、出来立てを食べるのだから。
と、つづける。
今晩、お鍋はいかがですか。
typester
お鍋はいかが ちゃんこ鍋
四季を通じて、
相撲部屋で湯気を立てる、ちゃんこ鍋。
煮立った出汁に骨つきの鶏を入れ、
季節の野菜を加えて煮るのが一般的。
鶏を使うのには理由がある。
手をつかず二本足で立つ鶏が、
負けない力士の姿を連想させるからだとか。
その鍋は、お腹といっしょに、
闘志まで満たしてくれる。
Yu Morita
お鍋はいかが すき焼き
作家の山口瞳が編集者だった頃、
ある小説家宅の食事に招かれた。
出されたのは、すき焼き。
よろこんだのもつかの間、
主人はいわゆる鍋奉行だった。
肉に箸をのばすと「それはまだ早い」。
またのばすと「出汁を足せ」。
そろそろかとのばすと「薄くなった。」と砂糖を入れだす。
ついにひとつの肉も食べられなかった山口。
その姿は、奉行の裁きにうなだれる
罪人のようだった。
お鍋はいかが 鱈ちり
魚に性格があるとしたら。
作家の江國香織は、
こんなイメージを広げる。
鮭は優しくて、鰯は陽気。
かますは几帳面で、鯛はちょっと意地悪そう・・・
そして、鱈ちりを食べながら、
こんなことを考える。
私は鱈になりたい。
知性も品もあるし、
身がほどけるところもいい。
作家というのは、
舌の感受性も豊かなんだろうかと
うらやましくなる。
lilyfan
お鍋はいかが 湯豆腐
随筆家の神吉拓郎が、
湯豆腐の魅力について書いている。
立ちのぼる湯気。
グツグツとたぎる音。
豆腐の簡潔な白さ。
何より、味の心配がいらないこと。
安心だったり、気やすさだったり。
わたしたちは鍋を囲んで、
そういうものに、
手を伸ばしているのだろう。
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