Jarod Carruthers
朝ごはん 向田邦子の朝食
向田邦子のエッセイ、「刻む音」。
朝、目覚めると、味噌汁の具を刻む母の包丁の音が聞こえてくる。
顔を洗っているとかつお節の匂いがする。
少し経つと、味噌の香りがプーンと流れてくる。
向田邦子にとっては、それが幼いころの朝食の記憶。
彼女はこう綴る。
このごろの朝の匂いといえば、コーヒー、ベーコン、トーストだが、
私に一番なつかしいのは、あの音とあの匂いなのである。
向田邦子に限らず、日本人にとって、味噌汁の味こそ、
朝ごはんの味かもしれない。