2018 年 6 月 のアーカイブ

澁江俊一 18年6月17日放送

180617-03
InfoMofo
街の両雄

今日はニューヨークに
自由の女神が贈られた日。

ニューヨーカーが
愛してやまないスポーツ、野球。
ニューヨークに在籍する
メジャーリーグのチームは2つ、
ヤンキースと、メッツだ。
リーグが異なる両チームが対戦する試合は
交流戦で年間4試合あり
サブウェイシリーズと呼ばれ
ニューヨーカーを熱狂させている。

地下鉄で移動できるほど近い両チームが
過去一度だけシーズン優勝をかけて争ったのは
20世紀最後の年、2000年のことである。

地下鉄にもそれぞれのチームカラーの
特別デザインが施され、
ニューヨークの街は熱狂した。

結果は4勝1敗でヤンキースの優勝。
メッツがリベンジできるのは、
いつになるだろう。

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澁江俊一 18年6月17日放送

180617-04
Chung Chu
都市の中の自然

今日はニューヨークに
自由の女神が贈られた日。

ニューヨーカーや
観光客から愛されつづける
セントラルパーク。
森があり、起伏があり
湖があり、花が咲き乱れ
まるで自然そのままの風景だ。

自然の景観と生態系を公園に取り入れる、
その形が決まったのはおよそ160年前
アメリカ造園界の父、
フレデリック・ロー・オルムステッドのプランによる。

しかしこの土地、岩、泥、沼が多く、
開拓するのは至難の技で、
完成まで20年近くもかかった。

人と自然の共同作業。
それが時を超えて愛される
大都会のオアシスをつくったのだ。

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澁江俊一 18年6月17日放送

180617-05

若き英世の思い出

今日はニューヨークに
自由の女神が贈られた日。

ニューヨークに
ゆかりのある日本人といえば、野口英世。

福島の農家に生まれた英世は
独学で医学を学び渡米し経験を積み
1904年にロックフェラー医学研究所で
働き始める。

寝る間を惜しんで研究に没頭し
その優れた研究成果が
幾度となくノーべル賞の候補にもなった英世。
その多くは彼のニューヨーク時代になされている。

真面目な印象で知られる英世だが
実は遊びにも酒にも
研究と同じくらい没頭していた。

当時のニューヨークは世界最先端の都市。
英世はその街を遊び歩きながら
何を語り、何を思っていたのだろう。

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田中真輝 18年6月17日放送

180617-06
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マンハッタンヘンジ

今日はニューヨークに
自由の女神が贈られた日。

マンハッタンヘンジ
という現象をご存知だろうか。

マンハッタンには、
大きな通りが碁盤の目のように走っている。
年に二度、その東西の大通りに丁度沿うようにして、
太陽が沈む現象、それがマンハッタンヘンジだ。

その呼び名はもちろん、
春分、秋分の日の日没に沿うように
石が組まれたストーンヘンジに由来する。

かつて古代の人々は
ストーンヘンジに沈む太陽に向かって
神聖なるものへの謙虚な祈りを捧げた。
いま、世界の富と繁栄を象徴する場所に住む人々は
摩天楼を真っ赤に染めながら沈む太陽に、
何を思うのだろうか。

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田中真輝 18年6月17日放送

180617-07
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ニューヨークの蛍

ニューヨーク、マンハッタンの
ど真ん中で蛍を見た、と言ったら、
どうせ新手のイルミネーションか
なんかじゃないの、と思うかもしれない。

だが、実際に蛍はいるのだ。
マンハッタンのど真ん中、セントラルパークに。

日本の蛍とは違い
ニューヨークの蛍は水辺を必要としない。
6月の半ば頃から、煌めく摩天楼を背景に、
セントラルパークの芝生の上を
涼しげな光が舞う。

人と車が忙しなく行き交う街中でも
頼りなげに明滅する蛍を見かける
ことがある。

この街で夢を追う者たちは
小さくも空に飛び立つ姿に希望を託し
その光を『幸運の虫』と呼んでいる。

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田中真輝 18年6月17日放送

180617-08
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ニューヨークの名物

今日はニューヨークに
自由の女神が贈られた日。

ニューヨークを代表する
ソウルフードのひとつ、ホットドッグ。
ニューヨーカーの年間平均消費量なんと60本。
ホットドッグを売る移動式スタンドは、
ワンブロック毎にあると言っても過言ではない。

蒸気で温めたパンに、
ボイルしたソーセージとキャベツの酢漬け
ザワークラウトを挟んで、
仕上げにケチャップとマスタードをたっぷり。
シンプルだからこそ、いい。
そのシンプルさこそが、
いつも”on the way”なニューヨーカーにぴったりの
“on the way food”である秘訣なのだ。

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得津有明 18年6月16日放送

180616-01
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地下鉄の切符売り

AIやロボットの登場で、将来多くの仕事がなくなると言われている。
時代に人は逆らえないのかもしれない。
だが、古きは無用の遺物になるのだろうか。

1958年にフランスを席巻した名曲がある。
Le Poinçonneur des Lilas (地下鉄の切符切り)。
セルジュ・ゲンスブールのデビュー作だった。

来る日も来る日も切符に小さな穴を開けている切符売り。
そんな姿を今、パリで目にすることはない。
しかし、その時代、確かに彼らはそこに生きていた。
その息づかいを、哀愁を、ゲンスブールは見事に切り取り、歌として遺した。

セルジュ・ゲンスブール。
この名は拡張されるパリ地下鉄11号線の新しい駅名となる。

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得津有明 18年6月16日放送

180616-02
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砂漠の井戸


オフィス街に立ち並ぶ近代的なビルの数々。
その夜景が美しいのは、光と闇のコントラストによるものだけではない。

フランス生まれの小説家であり、パイロットでもあった、サン・テグジュペリ。
代表作『星の王子さま』は、
不時着したサハラ砂漠を彷徨った体験をもとに書かれている。

作中で、月夜の砂漠を歩く王子が、ゆっくりと呟く。

 砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ。

都市の夜景が美しいのも、
光の中にひとりひとりのドラマが隠れているからではないだろうか。
働くわたしたちの喜怒哀楽が、この街をより美しくしている。

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森田隼司 18年6月16日放送

180616-03

親鸞のことば

鎌倉時代の僧で、浄土真宗の祖と言われる親鸞。
彼は仏門に入る際に、こんな詠を残している。

 明日ありと 思う心の 徒桜(あだざくら) 
 夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは

「咲いている桜だって、夜中に嵐が来て散ってしまうかもしれない。
だからこそ、今を精一杯大事に生きたいんだ。」

驚くべきは、この詠をよんだときの親鸞は7歳、
今で言えば小学1年生だったと伝えられていることだ。
人生100年時代。
いくつになっても、今を精一杯生きるという思いを
私たちも大事にしていきたい。
7歳児に負けるわけにはいかないじゃないか。

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森田隼司 18年6月16日放送

180616-04

チャーミング

アイルランド出身の作家、オスカーワイルド。
彼の作品の中に、こんなセリフがある。

 人間のことを善人か悪人かで区別するのは馬鹿げている。
 人間は、チャーミングか、退屈かだけだ。

ワイルドの作品と思想は世界中に影響を与えたと言われているが、
彼の常識にとらわれない見方が、
この言葉からも伝わってくるだろう。

職場では部下を気遣い上司の顔を伺い、息苦しい日々を過ごす私たち。
ひょっとすると、善人であろうとするがあまり、
私たちは退屈な人間になってはいないだろうか。
明日からの新しい1週間。
ちょっと気持ちを切り替えて、
チャーミングな人間を目指してみるのもいいかもしれない。

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