河田紗弥 18年8月12日放送
おやつの時間 〜ハイカラのシンボル〜
横浜や神戸の貿易港に、
イギリスやアメリカなどの商館が軒を連ねる頃のこと。
日本国内では、飲み慣れた緑茶への志向が強く、
高価な贅沢品の紅茶を飲むという習慣はしばらく根付くことはなかった。
しかし、そんな日本を変えたのが、文学だ。
夏目漱石や永井荷風、宮沢賢治らの日本文学の中に
紅茶が登場しはじめると、
次第に、広く国内で紅茶が飲まれるように。
文学の中に登場する紅茶好きの人々は、
決まってハイカラ好みの上流階級。
当時の文学の中では
優雅さや豊かさなど、ハイカラの記号として機能していたようだ。
この高級で優雅という紅茶へのイメージは
簡単に手に入るようになった今もなお、
残っているのではないだろうか。