額縁の話 歴史
西洋の額縁は、祭壇画から始まったと言われている。
絵板に描かれた宗教画を取り囲む画枠には、
装飾が施され、庇のようなものが備わっていることもある。
これには、ほこり除けの意味もあったようだ。
日本の額縁は、もともと神社や仏閣の「名」を彫り込んだ
横長の扁額(へんがく)で、
書を篆刻(てんこく)した木の板の縁に、
装飾を彫り込んだものが原型と言われる。
西洋でも東洋でも額縁が「祈り」の場から誕生したことは
とても興味深い。
額縁の話 歴史
西洋の額縁は、祭壇画から始まったと言われている。
絵板に描かれた宗教画を取り囲む画枠には、
装飾が施され、庇のようなものが備わっていることもある。
これには、ほこり除けの意味もあったようだ。
日本の額縁は、もともと神社や仏閣の「名」を彫り込んだ
横長の扁額(へんがく)で、
書を篆刻(てんこく)した木の板の縁に、
装飾を彫り込んだものが原型と言われる。
西洋でも東洋でも額縁が「祈り」の場から誕生したことは
とても興味深い。
額縁の話 タベルナクル額縁
左右に柱があり、土台と破風を持った、
聖堂のファサードのような形をした額縁がある。
タベルナクル額縁、という。
タベルナクルは、建築用語で聖人像を置く
壁のくぼみを指す。
ルネサンス期にイタリアで、様々な様式が発展した額縁だ。
植物の連続模様や、渦巻き装飾が施され、時には金も使われていた。
描かれた肖像画を「聖なるもの」として周囲の家具から
区別していたとされる。
ただの豪奢なインテリアではない、
役割があったのだ。
額縁の話 サンソヴィーノ額縁
建築物のような額縁、タベルナクル額縁の中でも、
一風変わった額縁がある。
サンソヴィーノ額縁、という。
ロンドン、ナショナル・ギャラリーのコレクションにある
「聖ヒロエニムスのいる風景」が飾られている額縁だ。
建物の屋根のような大胆な天辺の外枠の装飾、
下辺も両隅の外に突出している。
左右には柱の代わりに女性の胸像があしらわれている。
サンソヴィーノとは、ヴェネツイアの建築家の名で、
サン・マルコ図書館や造幣局を手がけた人物。
しかし、彼の作品とサンソヴィーノ額縁との
関連は見出せないという。
不思議な額縁の不思議なお話。
額縁の話 箱型額縁
16世紀になるとイタリアでは
「カセッタ」と呼ばれる額縁がポピュラーになる。
かセッタはイタリア語で「小箱」。
その名の通り箱型の額縁だ。
凹凸の少ない、幅の広い画枠が特徴で、
そこに装飾が施されている。
上塗りをかき削って、下地の金メッキを見せるように
模様を描いたスグラッフィートという技法がよく使われる。
箱型額縁は基本的にシンプルなデザイン。
けれども外縁の細工はとても細やかだ。
たとえばブリューゲルの「東方三博士の礼拝」が飾られていた
箱型額縁は、クルミ材で作られ、
外縁がカールするように立ち上がっている。
細部には金メッキで細かい模様が施されている。
ブリューゲルがそう望んだのか定かではないが、
控えめながら荘厳に絵を縁取っている。
額縁の話 オランダの額縁
17世紀のフランドル派とされる作品に、
「絵画を陳列した部屋の鑑定家たち」がある。
文字通り、部屋いっぱいに絵が飾られている。
絵画もさることながら、
さまざまなタイプの額縁を見ることができる。
当時この地方で人気のあった額縁だろう。
登場人物の一人が手元に小さな絵を持っている。
その額縁にはシャッターが取り付けられている。
持ち歩く際に絵を保護するためと、
シャッターを開いて絵を見せた時の驚きを楽しむためだろう。
海外の美術館を訪れる際は、
額縁にも注目してみたい。
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