渋谷三紀 19年11月17日放送
あの人の料理帖 幸田文の“味噌”
「みそっかす」という随筆がある。
書いたのは幸田露伴の娘、文。
露伴はとりわけ文に厳しかった。
できのいい姉に比べて自分はみそっかす。
だから父に愛されないのだと、
文はずっと思っていた。
娘の思いを知った露伴はこんな言葉をおくる。
人には運命を踏んで立つ力がある。
代々伝わる行儀作法と家事の仕方のすべてを、
文に伝えようとしていた露伴。
厳しいながらも深い父の愛情に、文は気づく。
そういえば、味噌をこした後には、
芯の強いところが残る、
という話もある。