若杉 茜 20年1月26日放送
白のはなし 白い雪
江戸中期に活躍した画家、伊藤若冲。
その展覧会に多くの人が押し寄せたことは記憶に新しい。
彼は、白い雪を愛した画家だった。
日本画で一般的に使われる、貝殻から作った1種の白の塗料のみを使い、
考えられないほどの様々な雪を表現した。
椿の上に厚く積もるこんもりとした雪、
葉の上の少し溶けかかった雪、
ひさしの影になった、少し硬く鈍い色の雪。
それらを、塗料の塗り重ねや、濃さ、
そしてある時には裏から塗り足すことにより繊細に表すのだ。
年が明け、寒さも深まる今日この頃。
雪景色に出会えた時は、若冲の繊細な雪に想いを馳せたい。