ncole458
生きて帰ること
いまからちょうど50年前の、1970年のこと。
世界最高峰のエベレストに、
日本人で初めて登頂した男がいた。
彼の名は植村直己(なおみ)。
のちに、世界で初めて五大陸の最高峰に登頂し、
名実ともに日本の冒険家の象徴となった彼は、
こう語っている。
「冒険とは、生きて帰ることである」
この50年、あらゆる山や海は制覇され、
世界は急速に狭くなっている。
そんな今を生きる私たちにとっては、
どんな冒険がありえるのだろうか?
ncole458
生きて帰ること
いまからちょうど50年前の、1970年のこと。
世界最高峰のエベレストに、
日本人で初めて登頂した男がいた。
彼の名は植村直己(なおみ)。
のちに、世界で初めて五大陸の最高峰に登頂し、
名実ともに日本の冒険家の象徴となった彼は、
こう語っている。
「冒険とは、生きて帰ることである」
この50年、あらゆる山や海は制覇され、
世界は急速に狭くなっている。
そんな今を生きる私たちにとっては、
どんな冒険がありえるのだろうか?
pictinas
自然体
圧倒的な存在感と過酷さを持つ
世界最高峰の山・エベレストに、
女性最高齢で登頂した日本人がいる。
渡辺玉枝さん。2012年、73歳で登頂に成功。
実は彼女は、8000m級の山にも、
「チョット出かけてきます」の一言だけで出発するという。
富士山のふもとに生まれ、
毎日富士山に挨拶してきた彼女にとって、
山は日常の一部。
予測できない自然を相手にする秘訣は、
こちらが自然体でいることなのかもしれない。
自由
地球の3分の1をも占める
雄大な太平洋を、
昨年、視覚障害者として世界で初めて
ヨットで横断した日本人がいる。
岩本光弘さん。
視力を失い、一度は人生に絶望した彼を救ったのが、
ヨットとの出会いだった。
彼は、太平洋をこう語る。
「ぶつかるものが何一つ無くて、ありがたい。
全盲の私に、操船できる自由を与えてくれているんですから」
どうにもならない無力感は、ときに
何でもできる自由に変わる。
それこそが、冒険の醍醐味の一つなのかもしれない。
私には現実
初めて空を飛んだとき、
人類は大きな風船に乗っていた。
バーナーで空気をあたためることで上昇し、
風まかせで推進していく、
シンプルで原始的な移動手段、熱気球。
そんな熱気球の滞空時間と飛行距離で、
世界記録を樹立した日本人がいる。
彼の名は神田道夫。
公務員の仕事をしながら、無謀とも思える挑戦をつづけ、
最後は太平洋横断に挑戦し、そのまま帰らぬ人となった。
妻である美智子さんは、のちにこう語っている。
「気球は夢のものだけど、私にとっては現実ですよ。
残されちゃうんですから」
冒険には、無謀を伴う。
冒険家は、常に目標だけを見据えて突き進む。
しかしその傍らには、
静かに現実を見つめている人がいることを、
忘れないようにしたい。
Yoshikazu TAKADA
最後の冒険家
「現代に冒険家はもう存在しない」
そう語るのは、写真家の石川直樹。
自身も登山家として、七大陸の最高峰を
世界最年少で登ったこともある。
彼は、こうも語る。
「日常における少しの飛躍、小さな挑戦、新たな一歩、
そのすべては冒険なのだ」
自分の足で極地へ赴き、
そこで暮らす人々の生活を丁寧に写真に収めていく。
それは、生きることそのものが冒険だということの、
彼なりの証明なのかもしれない。
さあ、今を生きる冒険をはじめよう。
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