八木田杏子 12年2月18日放送


ミシア・セールの芸術

19世紀のパリで
社交界のミューズとよばれていた、ミシア・セール。

ココ・シャネル、ロートレック、ディアギレフ。
当時、芸術を志す人々はミシアのサロンに集まり
作品を生み出していった。

ミシア自身も才能のあるピアニストといわれ
ドビュッシーやラヴェルと共演もしているが
彼女の名声はもっぱら
多くの芸術家のパトロンとしての活動にある。

ピアニストとしてのミシア・セールは
輝く星のひとつだったかもしれないが
パトロンとしてのミシアは
多くの星々を引きつけている渦の中心にいる。



ミシア・セールの女友達

パリの芸術家たちから、
社交界のミューズとよばれていた、ミシア・セール。

彼女の親友だった
ココ・シャネルはミシアをこう語る。

彼女はひとの悪口を言わずにおれないたちなのだ。
それでいて、誰かに何か言ったり、
他人に悪いことをしたりすると、
たちまちこわくなって、犠牲者のところへかけつける。
たっぷり愛情をそそいで、言い訳をする。

朝からミシアがやってくると、
ココ・シャネルはこう言って迎えたそうだ。

昨日、わたしのことを何て言ったのよ。

憎みつつ愛しつつ、ふたりの友情は生涯つづく。



ハーバード大学の教え

ハーバード大学の学生たちが詰めかけた
「人生を変える授業」。

講義をするタル・ベン・シャハーは、
「成功しているけれど、幸せではない人」を
たくさん観察してきた。

ポジティブ心理学の第一人者である彼が
最高学府の学生に教えたのは、
まず感謝すること。

ちょっとしたことでもいいので、
感謝できることを5つほど書く。

少なくとも週に一度、これをすることで
物事が好転すると彼は語る。

ありがとうを言いなさい…
最高学府の教えは、母の教えに似ていると思う。



ウォルト・ディズニーの憧れ

漫画家に憧れていた若かりし日の
ウォルト・ディズニー。

自分が描いた漫画のまわりに新聞記事を印刷して
新聞に掲載されたかのようなサンプルをつくっていた。

それでも新聞社から仕事をもらえなかったウォルトは、
カンザスシティ・スライド社で漫画を描く仕事に就いた。
会社はやがてスライドからフィルムによる広告に重点を移し
ウォルトは夢中になる。

フィルムの上でものを動かすトリック、
これがわたしをとらえて離さなかった。

まだ専門的な技術をもつ者が
ほとんどいなかったアニメーションに、
のめりこんだウォルト・ディズニー。
憧れていた新聞漫画を捨て
アニメーションに人生を賭ける。



ウォルト・ディズニーのガレージ

ウォルト・ディズニーの初めてのアニメーションスタジオは、
父親のガレージだった。
仕事から帰ると、すぐにスタジオにこもった。

そんな彼を見て、
いっしょに暮らしていた叔母のドロシーはこう語っている。

彼は子どもの時から、
いつもなにかに熱中していまいた。
その頃も休む間もなく忙しそうでしたが、
大したことをしているようには思えませんでした。

家族に理解されなくても、仕方がない。

ウォルトは、まだ存在していない職業、
アニメーターを目指していたのだから。



ロートレック

ロートレックが描く女性たちは、
すこし変な顔をしている。

ムーランルージュで歌い、踊る
女性たちが舞台で見せる笑顔ではなく、
ふと見せる素の表情を描こうとしたのだ。

舞台に立つ彼女たちの姿に、
楽屋で見せる顔を描く。

すると、一枚のポスターから、
踊り子の人柄や人間模様が見えてくる。

ムーランルージュをこよなく愛して、
足繁く通っていたロートレックだからできること。



モーツアルトの結婚

モーツアルトの初恋の相手は、
妻のコンスタンツェではなく、その姉のアロイジア。

人気ソプラノ歌手だった彼女の声を思い浮かべながら
作曲したアリアを捧げても、想いは叶わなかった。

その数年後、モーツアルトは、
初恋の女性の妹、コンスタンツェに目をとめる。
自分の父親と姉に反対されても、結婚にふみきった。

結婚して間もないころに作曲した「きらきら星変奏曲」の、
楽しそうに弾む音符たちが、彼の心情を語っている。

一途に想っても叶わぬ恋から、
すこし目をそらして出会った愛に、
モーツアルトは幸せを感じていた。

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