蛭田瑞穂 12年10月13日放送
食べる作家①太宰治
太宰治というと、
痩せぎすの小説家という印象があるが、
実は大食漢で旺盛な食欲の持ち主だった。
いちばんの好物は毛ガニで、
ある時、酔って新宿の街を歩いていた太宰は、
毛ガニをうず高く積んだ夜店を見つけると、
素手で一匹を掴み、
その場でムシャムシャ食べ始めたという。
ニワトリの解体も得意だった。
さばいたトリは骨付きのままぶつ切りし、
豪快にトリの水炊き鍋をつくった。
一方で繊細な面もあった。
箸の使い方が上手で、長い箸の先だけを使って、
きれいに魚を食べたという。
よく食い、よく飲む。
太宰はそんな作家だった。