大友美有紀 12年10月20日放送
小川三夫「不器用な言葉」6
宮大工の仕事には、寸法通りにきちっと仕上げただけでは
だめなことがある。
たとえば柱の真ん中に別の木を通すために穴をあける。
木というのは芯を通って穴を空けると、芯にむかってふくらむ。
スムーズに入れるために「ヌスム」と言う技がある。
木の性(しょう)を見ていくぶん余計に掘っておく。
世の中にもこういうヌスミみたいなものが
必要なのと違うだろうか。
ぎくしゃくしないように、ちょっと無理が出ても
納めるようなゆとり。
それは自分のほうが引いてもいいと言う余裕。
今は、相手にそれを求めるだけだと、宮大工・小川は言う。
「ヌスミ:自分のほうが引いてもいいと言う余裕」それを読んで、そんな付き合い方って贅沢なことかもしれないとちょっと思った。