名雪祐平 13年9月29日放送
dalangalma
一眼 ケビン・カーター
1993年2月。北アフリカ。スーダン。
10年以上の内戦。干ばつ。
深刻な飢餓状態。
痩せこけて、あばら骨が浮き上がり、
餓死寸前の少女。
地面にうずくまる。
死肉の匂いを嗅ぎとり、
少女の背後にハゲワシが舞い降りた。
写真家ケビン・カーターがその場面に遭遇した。
2、3回シャッターを押した。
写真は
1994年ピューリッツァー賞受賞。
しかし痛烈な批判も起きた。
少女を救うことより
撮影を優先するような写真家は
ハゲワシと同じだ、と。
ピューリッツァー賞授賞式の一カ月後、
カーターは愛車の赤いピックアップトラックに
排気ガスを引き込み、自殺した。
真実は。
カーターは写真を撮った後、
少女を狙うハゲワシを追い払っていた。
それから少女は立ち上がり、
よろよろと歩き出したという。