藤本宗将 13年11月30日放送
robinvanmourik
インナーワールド アドルフ・クスマウル
体の断面を撮影するCTスキャナ。
この医学史上最大級の発明は、
「ビートルズによる最も偉大な遺産」といわれる。
CTの発明者であるゴッドフリー・ハウンズフィールドの勤務先が
EMI、つまりビートルズのレコード会社であり、
その莫大な売上が研究資金をまかなっていたからだ。
何しろハウンズフィールドの研究は長い苦難の連続だった。
X線写真とコンピュータの画像処理を
組み合わせるアイデアを思いついたものの、
医学の知識がないため開発は手探り。
それでも彼は休みなしで連日作業に没頭した。
上司が研究室に鍵をかけ、やっと休暇をとらせたほど。
ビートルズがいなかったらCTは生まれなかった、と人は言う。
だがいくら資金があったとしても、
この努力家のサラリーマンがいなければCTは生まれなかったはずだ。
1979年。彼の地道な研究に対し、
ノーベル生理学・医学賞が贈られている。