小野麻利江 15年6月28日放送
HiroshimaGab
お米の話 田植えにまつわる言い伝え
かつての日本の四季は、今よりもずっと
米づくりと密接につながっていた。
米づくりにまつわる言い伝えが
土地ごとにいくつも存在していた。
田植えに関しても、
五月の婚礼、八月の離れ月
という風習があった。
これは、旧暦の五月と八月に
婚礼をとり行なうのを避けるように、戒めたもの。
旧暦の五月は、田植えの最盛期。
婚礼に人手を出すどころではなく
しかも梅雨時に重なるとあって、
花嫁行列などしようものなら、晴れ着は台無しになる。
実に理にかなった言い伝えであった。
しかし今や旧暦の五月、今の暦で六月は、
「ジューンブライド」として婚礼の最盛期。
欧米の「ジューン」には梅雨などなく
日本にそのまま取り入れるのは
本来は無理がありそうなものだが、
そんな懸念もなんのその。
挙式場所の変化や空調の発達で
梅雨時の晴れ着の心配が減ったこともあるが、
なにより日本の農業人口が減り、
田植えの日取りとの兼ね合いを
気にする人が減ったということも、
普段は気づきもしないが、
実は大きな要因のように思える。