佐藤延夫 15年10月03日放送
Ad Blankestijn
井上井月と食べ物
漂泊の俳人、井上井月。
奥深い信濃の伊那谷に入る前は
江戸や京都などを放浪していたようだ。
食べ物にまつわる俳句が、
当時、何を食していたか教えてくれる。
たとえば甘鯛、初鰹、鮟鱇、海鼠、蓴菜、そして河豚。
意外と贅沢な食事が多かった。
そして信濃では、猪を意味する「山鯨」、
伊那谷で正月に必ず食べる「とろろ汁」など
地元らしい料理が句の中に現れる。
新蕎麦に 味噌も大根(だいこ)も 褒められし
松茸や 薪拾いの 狐福
思いがけない幸せのことを、狐福と言う。
井月の嬉しそうな顔が、目に浮かぶ。