田中真輝 16年9月11日放送
Joao Carlos Medau
悼む人
今日、9月11日は、
アメリカ同時多発テロ事件が
発生した日。
この事件をきっかけにして紡がれた物語がある。
作家、天童荒太による「悼む人」。
911以降、世界中に広がる怒りの連鎖への
無力感の中で生まれたのが、
死者を悼んで旅する男の物語だった。
「なぜ、私たちは、すべての死者を平等に
追悼することができないのか」
その問いかけを胸に、天童は実際に、
各地で亡くなった人を悼む旅に出る。
そして、実に7年という歳月の果てに、
天童は「悼む人」を上梓する。
そこに描かれているのは、怒りに包まれる
世界への、天童からの静かだが、
力強いメッセージだ。