名雪祐平 09年8月30日放送
やなせたかし
ぼくの顔をたべてごらんよ。
そんな型破りなヒーロー、
アンパンマンは、
なぜ生まれたか。
作者やなせたかしが、
戦争体験によって、
こう思い知らされたから。
正義はある日突然逆転する。
正義は信じたがい。
究極の正義とは、
ひもじい人を救うことだと。
さて、きょう、衆議院選挙。
アンパンマンに、一票。
もちろん、立候補していないのだが。
ジーパン刑事
35年前のきょう。
一人の刑事が、
ちんぴらにピストルで撃たれ殉職した。
刑事のあだ名は、ジーパン。
ドラマ『太陽にほえろ』のジーパン、
つまり松田優作はずっと考えていた。
早くこの役を殺してくれ。
役柄も、人間関係にも、
完全に嫌気がさしていたから。
そうやって、ジーパンは殺されたけれど。
鬼気迫る演技のおかげで、
鮮烈な名シーンになってしまった。
ジーパンは亡霊のように
人々の残像のなかで
生きつづけている。
ゴーギャン
この地上に、楽園はあるだろうか。
画家ポール・ゴーギャンは、
タヒチに移り住む。
けれど、やがて貧しさと病気に絶望。
死を決意する。
遺書代わりに描いた作品のタイトルは。
われわれはどこからきたのか
われわれはなにものか
われわれはどこへいくのか
D’où venons-nous ?
Que sommes-nous ?
Où allons-nous ?
楽園を求めて、求めて、
ゴーギャンがたどりついたのは、
シリアスな精神世界だったのだ。