礒部建多 20年6月21日放送
久松留守
人類は遥か昔から
疫病と向き合ってきた。
江戸時代。インフルエンザは、
「お染風邪」と呼ばれ恐れられていた。
対して人々は「久松留守」と書いた紙を
玄関や軒先に貼り付けて、疫病退散を願ったと言う。
これは、当時大流行した、
歌舞伎演目の「お染久松」に因んでいると言う。
内容は、お染と久松と言う男女の恋物語。
要は、「あなたの好きな久松さんは
留守をしておりますので、この家に来ないでくださいね」
と言うことらしい。
真剣なおまじないでありながらも、
洒落の心を忘れない。
そんな江戸の人々の心持ちに、学ぶことは多い。