江口順也 09年4月26日放送
チャーリー・チャップリン
TVをつければ、お笑いだらけ
新聞をひらけば、笑えないことばかりの
あべこべなまいにち。
かつて暗黒の時代に、
世界中の人をゲラゲラさせたチャップリンはこう言った。
ヒトラーという男こそ、
笑い者にしてやらねばならないのだ
さて。
僕らはいま、だれを笑い者にすればいいのだろうか。
野比のび太
少年は、落ちこぼれだった。
でも、
あきらめのいいところがぼくの長所なんだ
そう言ってケロリとしていた。
今もってる自転車は嫌いだ!乗れないから
そう開き直ったりもした。
社会なんて、知れば知るほど、デタラメなのかも。
ときどき人のせいにした。
でもある日、こんなことに気づく。
いちばんいけないのは、じぶんなんかダメだと思いこむことだよ
その言葉に、おとなもこどもも励まされた。
少年の名は、野比のび太。
日本人は、彼といっしょに大きくなった。
ロベルト・グッチ
グッチが欲しいわ。
今日もだれかが、だれかに、おねだりしている。
15年前。その名をめぐり、
激しく身内で争ったグッチ家の人々は、
グッチの名前を、資本家に取り上げられてしまった。
いま、三代目のロベルト・グッチ氏は、
一族の誇りをふたたび取り戻そうと、
まったく新しいブランドを立ち上げている。
決してグッチの名前を出してはならない、
という約束のもとで。
グッチが欲しいわ。
そう言ったかどうかは、だれも知らない。
カズ
だれより先に、世界へ飛び出していった。
だれより先へと、日本を引っ張った。
だれよりもたくさんイメージし、
だれよりも、その日を夢見ていた。
でもカズは、ワールドカップに出られなかった。
だれよりも、サッカーの神様を愛していたのに。
そんなカズがよく使う言葉、
ボア・ソルチ。
ポルトガル語で、GOOD LUCK、だそうだ。
イシ
まだ、グローバル化という言葉はなかった。
1915年のこと。
インディアン狩りに追われ、
死を覚悟で白人の町に現れた
人類最後のインディアン、イシは、
世界に別れのメッセージを残した。
あなたは居なさい、ぼくは行く
それは、部族に代々伝わる
ヤヒ語で語られた、最後の言葉だった。
ひとつの言語が消える瞬間。
英語は、殺し屋だった。
たけしさんと関根さん
その番組には、たけしさんがいた。
面白いことは全部、たけしさんが言ってしまう。
男は、もがいていた。
そんなある日、彼は、
ほんとうにどうでもいいようなことを言ってみた。
ふと思いついた、本当に本当に、どうでもいいことを。
今のVTRに出てきた人、次男っぽいですよね
スタジオは、
笑いの渦に包まれていた。
だけしさんも、笑っていた。
その男とは、関根勤さん。
どんな場所にも、ポジションは、きっとある。
スティーブ・ジョブス
天才の条件。
その一つは、
いつまでも子供でいられること。
利害や損得を気にせず、
情熱や好奇心で動けること。
10年前、スティーブ・ジョブスは、
つぶれかけた古巣のアップル社に、
わずか年俸1ドルで復帰した。
やがて、
1年で、imacが。
5年で、ipodが生まれた。
天才の給料は、いまも1ドルのままだという。
王貞治
世界のホームラン王と言われた
王貞治のバットから、
まったく音が消えてしまったことがある。
第699号を打ってからの20日間。
あと1本が、どうしても出ない。
焦る姿を見かねた知人は、
ある一言をアドバイスしたという。
その翌日。
第700号ホームラン、達成。
いったい知人は、何と言ったのか。
あと1本で700ではなく、
あと101本で800だと思えばいいさ
数字の魔法が、王様を救った。