細田高広 10年09月11日放送


ストラディバリウス

現代の技術をもってして、
何故300年も前のヴァイオリン、
ストラディバリウスを越えられないのか。

その秘密を解き明かそうと、
いくつもの科学者チームが分析をしてきた。

木材に秘密がある。ニスの塗り方が決め手だ。
いくつもの仮説は生まれた。
しかし、ストラディバリウスには近づけない。

ヴァイオリニスト
イツァーク・パールマンは言う。

ストラディバリウスは ”音”を持っています。
すでに音楽がそこにある。
自分は弓を楽器の弦にのせて動かすだけで、
音楽が流れ出てくるのです。

科学はまだ、感性を超えられない。


レス・ポール

3度のグラミー賞を
受賞した音楽家にして、
発明家の殿堂入りも果たした男。

レス・ポール。

彼が生まれなければ、
B.Bキングも、ジェフ・ベックも、
キース・リチャーズも生まれなかった。

彼のギターを愛する男を並べれば、
アメリカの
ポピュラー音楽史になってしまう。

94歳で無くなるまで、
毎週月曜日にイベントを開催し、
現役でギターを弾き続けたレス・ポール。

彼は、語る。

成功する秘訣は、
今より少しだけ上を目指すこと。
これを続けることだね。

天国でもきっと、
レス・ポールは鳴りやまない。


スティーブ・ヴァイ

 譜面はモナリザよりも美しい

と言ったのは、
ギタリストのスティーブ・ヴァイ。

フランク・ザッパから技術を学び、
バークレー音楽院で理論武装をした。

奇抜な衣装を身に纏い、
長髪をたなびかせるその姿。

3本のネックがついたギターから
繰り出される、
ギターの制約や定石を完全に無視した
フレーズの数々。

そんなスティーブ・ヴァイを
ファンたちは変態ギタリストと呼ぶ。

「上手」や「かっこいい」を追い求めても、
新しい音楽は生まれないから。

「変態」は、音楽家にとって
最大の誉め言葉かもしれない。


久保田五十一(いそかず)

バット職人、久保田五十一。

父親が51歳の時に生まれたから、
五十一と書いて、「いそかず」と読む。

51という数字の魔力だろうか。
彼は「51番」を背負うある男と
運命の出会いを果たす。

メジャーリーグのシアトルマリナーズで活躍する、
イチロー選手だ。

木を見極め、精巧な技術を駆使してバットを仕上げる。
イチロー選手は、そんな久保田がつくるバットしか使わない。

それでも久保田は、控えめに言う。

バッターと木が主役。私は脇役です。

10年連続200本安打への期待がかかる今年。
イチロー選手と久保田の記録は、
どこまで伸びるだろうか。

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