Creativity103
下澤理如② 神様と呼ばれる所以
1990年代後半、
下澤理如の炊飯器開発は、大きく遅れをとっていた。
チームの焦りが募るある日、
リーダーの下澤が突然、
カナヅチを手に工場を飛び出した。
彼は工場の脇に小屋をたてると、何日も出てこなかった。
「何をやっているのだ」と同僚がのぞきにいくと、
小屋の中では、大きな釜が火をふいていた。
「釜で炊いたご飯が一番うまい」
下澤はそう言って、炊きたての白米をほおばった。
そう。
彼のライバルは、他社の炊飯器ではなく、
あくまでも釜で炊いたご飯だったのだ。
その後下澤が生み出した電気炊飯器は、
爆発的なヒットを記録する。
「ごはんの神様」
彼のニックネームも、その時、誕生した。