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松岡康 18年12月9日放送

181208-05

天然の冷蔵庫

雪国で昔から活用されてきた、雪室(ゆきむろ)。

雪を高く積み上げ、藁などで囲むと、
中は温度0℃湿度90%以上と、年間を通して一定となる。
そこに穴をあければ雪室の完成だ。

それはまさに、天然の冷蔵庫。

実は近年、この雪室が持つすごさが科学的に証明されてきている。

例えばじゃがいも。
実験では貯蔵8カ月で糖度が2倍にもなった。

これは一定の温度・湿度かつ、電気による振動が無いために
植物をストレスなく熟成できるためだという。

じゃがいもだけでなく、日本酒、肉、コーヒーまで雪室で眠ることで
抜群に美味しくなるという。

雪が降ったら思い出してみてほしい。
今日も雪室の中で美味しいが育っている。

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松岡康 18年12月9日放送

181208-08

火星の雪

火星にも雪が降るといわれている。

地球から6,700㎞離れている火星は、
平均気温が-43℃と極寒。

地球のように雨が降ることはなく、海や川もない。

ただ、雪は降るのだという。

雪は凍った水と二酸化炭素の化合物。

火星で雪が降るのは南極だけで、
さらに、ある一定の期間だけだという。
それはまるで、地球の冬の様に。

いつか、人類が火星に降る雪を見られる時代が来るかもしれない。

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松岡康 18年10月14日放送

181014-04

グルメな浮世絵

美味いものを食べたい。
そんな時、ネットを見れば色んな飲食店の情報を
写真と口コミで見ることができる。

江戸時代、その役割を担っていたのは浮世絵だった。

歌川芳艶が描いた御府内流行名物案内双六では、
双六の形式を取りながら当時江戸で流行していた名物を描いている。

蕎麦、蒲焼、すし、天ぷら。
色鮮やかな食べ物や飲食店の名前も数多く見ることができる。

今の時代も江戸の時代も
グルメな国民性は変わっていない。

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松岡康 18年10月14日放送

181014-05

江戸の大物プロデューサー

広重、北斎、歌麿、写楽。
浮世絵師と聞けば、著名な天才絵師が何人も思い浮かぶ。

この誰もが知る浮世絵師たちの陰に、
江戸時代の敏腕プロデューサーがついていたということは
あまり知られていない。

蔦屋重三郎。
浮世絵や本を出版する版元をしていた彼は、
時代をいち早く察知し、発信することに長けていた。

歌麿や写楽、葛飾北斎など、
才能あふれる新人を発掘しては、流行作家に育て上げていった。

彼のプロデュースによって、江戸の文化、
世界の絵画は大きく進化した。

重三郎なくして、今の美術界はあり得ない。
プロデュースも立派な才能なのだ。

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松岡康 18年7月29日放送

180729-01
craigdietrich
世界一小さい公園

アメリカ、オレゴン州
ポートランドの中央分離帯に、
直径約70cmの小さな植え込みがある。

この小さな植え込み、
実は公式に市からも認定されている
れっきとした公園なのだ。

もともと街灯が建つはずだった穴に、
新聞のライターが植物を植えたのが始まりだった。

彼はこの場所を、
妖精が暮らす公園とし、新聞にコラムを書き始めた。
コラムは地元の人から愛され、
行政もここを公園として認めたのだった。

すべり台もジャングルジムも要らない。
物語さえあれば、そこはみんなから愛される
公園になるのかもしれない。

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松岡康 18年7月29日放送

180729-02

読書のための公園

休みの日は、ゆっくりしたい。
けど、だらだら家で過ごすのは嫌だ。

そんな人におすすめなのが「外読書」だ。

東京都杉並区中央図書館に隣接する「読書の森公園」。
ここは読書を楽しむために作られた公園だ。

気持ちの良い広々とした芝生。
それを囲むように置かれたベンチ。
池のほとりに立つ東屋。

図書館で借りた本を広げ、自然を感じながら読むと、
読書の時間がもっと大切な時間になる。

日常につかれたら、是非でかけてみてはいかがだろう。
読書のための公園が、あなたをきっと癒してくれる。

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松岡康 18年5月20日放送

180520-06

ジーンズを発明したかった男

今日はジーンズの誕生日。

労働者のための作業着として作られたジーンズだが
ファッション界において、それは特別な意味を持つ。

モードの帝王と呼ばれた天才デザイナー、イヴサンローラン。
彼は引退する時、自身でジーンズを手掛けなかったことが
唯一の心残りだと語ったという。

なぜモードの帝王が、大衆のファッションであるジーンズを愛したのか。

彼はジーンズの魅力についてこう語っている。

ブルージーンズ程、独創的で美しいものは無い。
しかも、それは実用的で、リラックスとカジュアルの空気を持っている。
そしてまた、ブルージーンズは主張と抑制とを併せ持っている。
それは簡素であると同時にエロティシズムをも放つ。
つまり、私がデザインしたいと思う要素を全て持っている。

天才がこれほどまでに評価するファッションは、
ジーンズのほかにない。

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松岡康 18年5月20日放送

180520-07
allenjaelee
インディゴとジーンズ

今日はジーンズの誕生日。

ジーンズの魅力を、その独特な色落ちにあるという人も多い。

なぜジーンズは色落ちするのか?

1880年、ドイツの化学者A.ボン.バイヤーが天然インディゴと
まったく同じ成分構造を持つインディゴの合成に成功。
ジーンズはほとんど、この合成インディゴで染色されている。

ただこの合成インディゴ、粒子が荒く、
染めあげる力は藍染などと比べてもはるかに弱い。

糸の表面に付着した状態で中まで色が浸透せず
何度も着ているうちに徐々に色が落ちていってしまうのだ。

だが、この染める力の弱さが功を奏し
世界でも類を見ない経年変化を楽しめる
ファッションアイテムが誕生したのだ。

世界中で10億着以上のジーンズが合成インディゴで青く染められてきた。
そしてそれらのジーンズには一つとして同じ色のものは無い。

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松岡康 18年3月11日放送

180311-02
かがみ~
爆発する様な表現 佐藤伝蔵

青森の夏の夜を彩る、ねぶた。

魂が宿っているかの様な、顔の表情。
今にも動きだしそうな、迫力のあるフォルム。

現代のねぶたの顔の表情を作ったのは、
実は一人の天才の手によるものだった。

昭和のねぶた師、佐藤伝蔵。

かつてねぶたの顔のフォルムは、
竹で作られていたためのっぺりとしていた。

彼は針金の柔らかさを極限にまで活かすことで、
複雑で迫力のある表情を生み出した。

伝蔵は言った。

 意識と意識がぶつかり合い、爆発するような表現が必要だ

伝蔵の意思を受け継ぐものたちの手によって、
今年も爆発するような表現が生まれる。

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松岡康 18年3月11日放送

180311-03
BehBeh
親子が生んだ桃源郷 阿部一郎

ある写真家が言った。

「福島に桃源郷あり」

そうまで言わしめたのは、
福島県福島市にある花の名所花見山公園。
春にはウメ、サクラ、レンギョウなどの花々が
丘を覆う様にいっせいに咲く。

実はこの公園、個人が所有する私有地なのだ。

所有者阿部一郎が父とともに
何年もかけて山を開墾し、花木を植えて作り上げた。
阿部は出来上がった美しい風景を多くの人に見てほしいと
一般の人々に開放をした。

自らの人生を花見山公園にささげた阿部は、
花についてこう語る。

 花はね、ほめてもらえるのは一年のうち、
 ほんのわずか五日間ほど。
 あとの三百六十日は、根を下ろした場所で、じっと、だまっている。
 でも春になれば、また花を咲かせるんです。
 災害があったとしても、花は花なりに咲くんです

春はもうすぐそこ。
花見山公園の花たちが、今年も元気に咲く。

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